初めての体験 15


(15)
アキラは、ヒカルが対戦相手の感想を日記代わりのシステム手帳につけて
いるのを知っていた。ヒカルは強い相手の感想しか書かないと言っていた。
だが、アキラには、一つ気になることがあった。ヒカルが対戦したことがあるのに、
感想が書かれていない人がいるからだ。『どうして、進藤はあの人のことを
書いていないのだろう・・・。』
アキラは、思い切ってヒカルに訊ねた。
「ねえ、進藤。その手帳には強い人のことが書いてあるんだよね?」
「そう。それがどうかしたか?」
ヒカルがきょとんとした顔で聞き返してきた。
「どうして、倉田さんの感想を書いていないんだ?」
「!!」
思いがけないアキラの言葉に、ヒカルはどう応えていいかわからなかった。
「倉田さんと対局したことがあるんだろう?」
アキラはさらに問う。ヒカルは狼狽えて、
「な、なんで倉田さんなんかと!オレは・・・!」
と、真っ赤になって言いかけたが、ハッと口を押さえた。そんなヒカルの言葉を
アキラはどう受け取ったのか、
「進藤・・・。苦手な相手がいるのはわかるよ。負けて悔しい気持ちも分かる。
でもね・・・苦手な相手を避けていては、一向に強くなれないよ。」
と、ヒカルを諭した。ヒカルは、雷に打たれたような衝撃を受けた。
「そう・・・そうだよな。塔矢の言うとおりだ。」
ヒカルは塔矢に、吹っ切れたように笑って言った。
「わかったよ、塔矢。オレ、今から倉田さんに対局申し込んでくる。」
「進藤?ちょっと、急にそんなこと・・・」
ヒカルは、走って出ていった。



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