失着点・展界編 15


(15)
ヒカルは息を飲み、動かせる範囲だけで顔をあげた。
伊角は自分でも驚いたように、和谷を殴った自分の右手の拳を見つめ、肩で
息をしている。伊角の両目から涙がポタポタこぼれ落ちた。
和谷は流しのところに座り込んでもたれかかり、頭を垂れたまま、
動こうとしなかった。
「くっ…」
伊角は首を横に振ると、止まらない涙をそのままに部屋の中を見回し窓の
ところのハンガーにバスタオルのようなものが掛かっているのを見つけると、
それを取って進藤に近付き手を伸ばして来た。
ヒカルが反射的にビクッと震えて後ずさろうとした。
「オレにまで怯えるなよ…!、進藤…。」
伊角は依然止まらない涙のまま、そっとタオルで進藤の下腹部を包んだ。
見える範囲で体液や血の跡を拭き取っていった。
そして壁際に押しやられていたヒカルの服を整えるとヒカルの頭に潜らせ、
袖を通させた。ヒカルは押し黙ったまま伊角に身を委ねた。
反対側の壁際に押しやられていたヒカルのジーパンを中のブリーフごと
穿かせようとして、伊角はポケットから白いハンカチを取り出した。
「こんなものでも…ないよりはマシだと思う…たぶん…」
ハンカチをヒカルのその部分に宛てがって、ジーパンを上げた。
「立てるか…?」
ヒカルが頷く。
背中に腕を回し、自分の肩に掴まらせるようにしてヒカルを立ち上がらせる。
もう一度屈んでヒカルのリュックを腕にかけ、和谷のいる玄関まで進んだ。



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