月明星稀 15


(15)
無茶だって?好きだから一緒にいたいって言うのが、どこが無茶なんだ。
好きなくせに好きじゃないふりをずっとしてたおまえの方が、よっぽど無茶じゃないか。
そのくせ、俺が好きだって言ったら、あんなに怒って、俺を乱暴に扱ったくせに。
「馬鹿野郎…!」
ぎっと彼の髪を握って引っ張ると、アキラが痛みに顔をしかめて、ヒカルを見た。
「無茶苦茶なのはおまえの方だ。無理ばっかしてるのはおまえの方だ。
ホントに、ホントにおまえが俺を好きだって言うんなら、」
アキラが目を見開いてヒカルを見た。
「本当にって、まだそんな事を言うのか?君は。」
真っ直ぐに見つめる鋭い眼差しに、心臓を鷲掴みにされた。
受け止めきれずにヒカルの眼差しが揺れる。
怒ったようにヒカルを見つめていたアキラは、不意にヒカルの身体を抱きしめた。
「ヒカル……」
熱い声で己の名を囁かれて、熱い腕で抱きしめられて、体全体で彼を感じて、ヒカルは目が眩む思いがした。
ずっとこの腕が欲しかった。この眼差しを自分のものにしたかった。
向けられる優しい目が、けれど本当は自分のものではないのだと思っていて、ずっと苦しかった。見た事も
無い彼の想い人を、心の底ではずっと羨んでいた。妬んでいた。
「本当に…?本当に俺を好き?ずっとおまえが想っていた人って、本当に俺だったの?」
「君以外にいる筈が無い。ずっと、君が好きだった。」
「だって、」
「ずっと、ずっと、もう思い出せないくらい前から、君が好きだった。君だけが好きだった。だから、」
アキラの手がそっと、ヒカルの柔らかな髪を撫でる。その優しい手が嬉しくてヒカルは仰のいたまま目を閉じる。
そして落ちてきたアキラの静かなくちづけを、ヒカルはそっと受け入れた。



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