敗着 15 - 16
(15)
もみ合った後の乱れたシーツの上。
後ろで手を縛られたヒカルが全裸でうつ伏せに転がっていた。
肩で小さく息をして呼吸を整えながら、緒方は改めてヒカルの肢体を眺めた。
──うなじにかかる程度に伸びた黒い髪の毛。肩甲骨とそれに沿う筋肉。
ネクタイを巻きつけた両腕と、その下の細い腰。
しなやかな脚とその付け根には薄っすらと水着の跡があった。
(これは思わぬ拾い物だったな)
ヒカルの内腿に手を差し込み、ゆっくりと上へなぞっていく。
「!・・・」
無防備な状態になり、次に来ることを予感していたヒカルが身体を強張らせた。
「そう怖がるな・・・」
優しく言ったつもりでも、声が低くなる。
ヒカルの尻からその奥をまじまじと見つめ、ごくりと唾を飲んだ。
(─アキラより上玉かどうかを調べてやるか・・・)
蹴られないように注意をしながら、横たわっている体を仰向けにする。
泣いたのか、睫毛が少し濡れた大きな瞳が飛び込んできた。
「・・・オレはアキラよりは上手いぞ・・・」
殴ったことを少し後悔して、ヒカルの体に覆い被さるようにのしかかると
耳朶に口を寄せ弁解した。
耳から顎に沿ってキスをして、血の滲む唇に吸い付く。
鉄の味と、濡れた唇の感触。幼い反応。
「口を開け・・・」
催促するように小さいキスを繰り返していると
「誰がお前なんかと」と言わんばかりに顔を横に背け、強く目を瞑っている。
(ったく、手間のかかる・・・)
一体どうやってアキラとヤったんだ?
と訊きたいのを堪え、ヒカルの首筋に舌を這わせた。
(16)
「ヤメロよっ、気持ちワリィ!」
縛られた腕の厚みで、弓のように反った上半身を捩りながら進藤が吐き捨てた。
構わずに舌を這わし乳首を小さく噛む。
日に焼けた肌に合うピンク色だ。
「あんっ」
進藤がびくんと跳ね、下肢をもぞもぞと動かし喘いだ。
「進藤・・・アキラとは、どうだった?・・・」
容赦のない愛撫を施しながら耳朶を嬲る。
「・・・っそんなの、知らねぇっ」
胸を撫でまわす手の平にじっとりと汗が吸い付いてくる。
「お前の汗は美味いな」
まだ快楽に慣らされていない肉体を余すところなく躾け、呟いた。
顔を紅潮させ、口をパクパクと開き進藤が首を振る。
無駄な肉のついていない引き締まった腹部が上下に波打っており
その臍をおりて陰毛に辿り着くと、まだ生え揃っていない草むらに顔を摺り寄せ、
「─おが、た、せんせぇ」
進藤が何か言っているのを無視して勃ち上がりかけているモノを口に含んだ。
「痛い!・・・っ」
「イッた後またすぐに勃つと痛いんだろう・・・?アキラも言ってたよ」
進藤の下半身に被さり、ヒクヒクとしている中心の先端を
舌でちろちろと掬いながら頬張る。
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