平安幻想異聞録-異聞- 150
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ヒカルの体はこの上なく、肉の快楽に弱い。その弱点を知られてしまえば、
こうして誰にでも、いいようにその体を操られ、心の中に巣食う闇を
引き出されてしまう。そして、支配されるのだ。
「ここのこのほぐれ具合、普段から座間殿にも、ずいぶん可愛がられて
いるようじゃのう」
「座間殿もお人が悪い。このような楽しみを隠しておくなど」
しかも、ヒカルはこの座間邸での数日間で、その自らの中の闇に身を
投じることに徐々にだが、自分でも気付かぬうちに、抵抗を感じなくなってきて
いた。その方が楽だから。心で意地を張っても、体が先に音をあげる。
香や薬のせいでなく。現に、薬の効力も切れ、香の香りが秋の夜風に掃き
寄せられても、こうして先の交わりの熱の名残を、指でたぐり寄せられただけで、
よがり、まぶたを涙の露に濡らす。
「もう…や……だ……」
たった一本の指に中を探られただけにもかかわらず、指先まで火照りに
紅く染めて、ヒカルが嗚咽をもらす。
「そうかそうか、此度はそなたの気持ちのいいようにと思ったが、少々
度が過ぎたかいのう?」
ヒカルの肉ひだを玩んでいた公卿が、うつぶせのままのヒカルを裏返して
仰向けにする。
秘門への指攻めに骨抜きにされたヒカルの体は、今度は楽に言いなりになった。
公卿は、単衣を着たままのヒカルの腰を丁度いい角度に持ち上げて浮かすと、
そこに自分の肉槍を突き入れた。
悲鳴とともに、ヒカルの背に痙攣が走った。
己の肉鞘に、熱い剛直が侵入しただけで、ヒカルは達してしまったのだ。
腹下程までまくり上げられた単衣の裾を、ヒカルの吐きだしたものが汚した。
かまわずに公卿が腰を使いだす。
刺激されて、すぐにヒカルのモノは起ち上がり始めた。
快楽に喘ぎながら、ヒカルが公卿の背に爪を立てた。
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