平安幻想異聞録-異聞- 153


(153)
乱れた金茶の髪の間を縫って、睨み上げるヒカルの視線を受け流して、座間が扇
をひらいて口元を隠して嘲笑うように言った。
「次も大事なお客様の予定じゃ。滞りなく『御接待』申し上げるのじゃぞ。
 近衛ヒカル」
その言葉に、ヒカルの体から力が抜ける。
(「次」ってなんだよ)
今夜も、あんなことがあるんだろうか?
実はこの時、ヒカルは初めて座間にまともに名前を呼ばれたことに、後で思い
返して気付いたが、この時はその言葉の衝撃の方が強かった。
座間がきびすを返し、渡殿の向こうへ姿を消す。菅原もヒカルを押さえてい
た手を放して後に続いた。ヒカルはそのまま床の上に、力なく座り込んだ。
侍女がいつもと変わらぬ仕草で黙って着替えを差し出す。
汚れた体を侍女に拭われながら、ヒカルは、ここに来て初めて、夜が来るの
が怖い、と思った。

例え、どんなに避けたくても、時というのは無情に流れやがて日が落ちる。
ヒカルは今日も、嫌なかんじのする下半身のかったるさを引きずったまま、座間と
ともに出仕し、またこの屋敷に戻ってきてしまった。
帰ってきたときには既に部屋にはあの、香の匂いが垂れ込め、昨晩と同じように
菅原と座間に強引に頤を押さえつけられて、胃に薬を流し込まれる。薬は鼻の奥
をちくちく刺すような妙な匂いが微かにした。



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