初めての体験 154 - 158


(154)
 男が楔を引き抜くと、それとともに溢れ出た精液がヒカルの白い内股を濡らした。
「サイコーだったよ…すごくよかった…」
満足げな男の顔をヒカルはぼんやりと見つめた。男はヒカルの両手の戒めを解きながら、
話しかけてくる。
「でも、知らなかったよ………」
「…………」
『何が?』とは聞き返さなかった。そもそも、この男はあまりに一方的すぎて、最初から、
会話が成立していない。
 男は返事をしないヒカルに気を悪くした様子も見せず、先を続ける。
「ヒカルちゃんが、アキラちゃんと付き合っていたなんて………」
「!」
ヒカルはゆっくりと男と視線を合わせた。男はニヤリと笑った。
「大丈夫。誰にも言わないよ……ヒカルちゃんがレズだなんて……」
男の脳内ではどうやらアキラも女の子らしい。それにしても、どうしてここでアキラの名前が
出てくるのだろうか?と、暫く考えて「あっ!」と思い当たったとき、顔から血の気が
引いた。さっき、助けを求めたとき、無意識にアキラを呼んだような気がする。
 青くなって震えるヒカルに男が笑いかけた。
「本当に誰にも言わないよ…二人とも美少女で、すごく似合っている………」
そう言いながら、男は再びヒカルに覆い被さってきた。ヒカルはただ、ショックで呆然と
していて、男にされるがままになっていた。


(155)
 男は脱力しているヒカルの身体をあれこれ弄くりまわし、ポーズをつけさせる。
「今日の記念に撮らせてね。」
と、デジタルカメラでヒカルの痴態を撮影し始めた。
 胸を大きくはだけさせたり、足を立てさせたり、白い液体で汚れたヒカルの身体を容赦なく
カメラに納めていく。それに逆らう気力はヒカルには残っていなかった。



 男がヒカルを解放してくれたのは、完全に夜が明けてからだった。男は嫌がるヒカルを
無理矢理、自動車に乗せた。男は最初に言った言葉通り乱暴な真似をせず、むしろ大切に
扱った。朝食にと、大量にパンだのおにぎりだのを買ってくれたが、だからといって、
それを食べる気分には、到底なれなかった。 
 「着いたよ。」
ヒカルが何も言っていないのに、男はヒカルの自宅近くの公園に車を止めた。どうやら、
ヒカルの自宅も行動範囲もすべて調査済みらしかった。
 無言で車を降りるヒカルを男が呼び止めた。
「あのさぁ、僕が言うのも何だけどね………」
ヒカルが、不審そうに男を見た。
「ヒカルちゃんみたいな可愛い子は夜遅く出歩かない方がイイよ。でないと、怖いヤツに
 攫われちゃうかもしれないからね?危ないだろ?」
男は、心底心配しているかのように、眉を寄せてヒカルに忠告した。そして、茫然自失の
ヒカルに向かって、「それじゃあ」と、さわやかに別れを告げるとそのまま車で走り去った。


(156)
 「…………ただいま……」
半泣き声で、帰宅を告げると同時に、雷が頭上に落ちてきた。両親は、玄関でヒカルの帰宅を
待ちかまえていたのだ。
 二時間にも及ぶお説教を、ヒカルは瞳に涙を浮かべて黙って聞いていた。
途中何度か、「遅くなった理由を言いなさい!」と詰め寄られたが、ヒカルは口を噤んだままだった。
「言わないのなら、昨日言ったとおり、門限は八時にしますからね!」
母が最後通牒を突きつけた。
「…………いいよ…」
ヒカルが小さく告げた一言に、両親は同時に「え?」と、間の抜けた声で聞き返した。
「八時でいい…」
 驚いている両親をその場に残して、ヒカルは階段を駆け上った。自室に飛び込むと、そのまま
ベッドに身体を投げ出して、ワァワァと大泣きし始めた。ドアの向こうで両親がオロオロと
心配そうに声をかけてきたが、ヒカルはそれに泣き声で返した。
 もう、絶対に一人で夜遅くに出歩いたりしない――――――ヒカルは気が済むまで泣き続けた。


(157)
 「やった!来てる!」
パソコンの画面を見て、アキラは叫んだ。
「どうかしたの?アキラさん。」
洗濯物を手に持った母が障子の陰から顔を覗かせた。アキラは顔を赤らめ、さりげなく
モニターを身体で隠しながら、「何でもありません」と言った。
 「そう?」
洗い立ての着替えをアキラの部屋に置いて、母は出て行った。 完全に母親が遠ざかるのを確認するまで、
アキラはモニターの前を動かなかった。
 恥ずかしい………興奮してつい大声を出してしまった。気をつけないと…………。
アキラは改めて画面を見つめる。
 最近見つけた第二のお気に入りサイトに新作が来たのだ。いつも行っているサイトに
新しいリンクがはられていた……それが始まりでだった。名前に心を引かれて飛んで以来、
このサイトに入り浸りであった。
「ヒカルちゃんのお部屋………こんなタイトルつけられて行かないわけには行かない……」
 このサイトの管理人は、ヒカルのコアなファンらしく、狙い澄ましたようなスーパーショット
満載だった。しかも、裏には、ヒカルの女装写真。もっともこちらはアイコラである。その
へんちょっと残念(まあ、ヒカルが普段スカートなど穿くわけないから仕方がない)だが、
管理人には拘りがあるらしく、ヒカルに似た体型の少女ばかりを使って作成しているので、
アイコラといえども素晴らしい出来上がりであった。
 即、ブックマークに登録、パス申請。アキラの行動は迅速だった。そして、一日千秋の
思いで待ち続けていた新作がついに来たのだ。
 タイトルとともに画面で踊る“new”の文字。ドキドキしながら、クリックすると、
いきなり鼻血ものの写真が画面一杯に現れた。
「ああああああ………し、進藤………!」


(158)
 陵辱されて、ぼんやりと手足を投げ出す女装姿のヒカル。見覚えのある制服は、有名女子校の
ものだろう。ブラウスの胸元を大きくはだけさせて、ピンク色の乳首が露わになっている。
立てた膝の隙間から汚液にまみれる白い内股が覗いていた。その更に奥は、スカートの影に
なっていて見えない。
 見えないところが却って想像力をかき立てる。ミニのスカートや、黒のニーソックスが
ヒカルによく似合っていて、それがまた、淫靡な雰囲気を濃厚にしていた。この見えそうで
見えないギリギリの淫猥さがアキラの欲望を直撃した。鼻息を荒くして次々、クリックしていく。

 「わぁ!なんだコレ!?」
何枚目かの写真を見たとき、アキラは驚きの声を上げた。女装のヒカルに絡む、同じく女装姿の
自分…………。
 スカート姿の自分を見るのは何ともいえず、妙な気持ちだった。
「…………………案外似合う………」
 アキラの心に欲望がムクムクと頭をもたげ始める。
「今度、進藤に頼んでスカート穿いてもらおうかな…………」
―――――葉瀬中と海王の制服(もちろん女子用)をどこかで手に入れなければ………
アキラは新たな世界への旅立ちのため、検索ページにアクセスした。 


おわり



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