平安幻想異聞録-異聞- 157
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その笑いをかみ殺すヒカルの表情に伊角は目ざとく気付いたらしい。
「何がおかしいんだ?」
「なんでもない。伊角さんは伊角さんだなぁと思ってさ」
「なんか、気になる言い方だな。馬鹿にしてるのか?」
そう言いながら伊角もまた笑って、ヒカルの頬に手をやり、その熱さに
驚いて手を引いた。
「近衛、具合悪いんじゃないのか?」
「ああ……。うん。俺もそうとう趣味の悪い薬、飲まされてるから……」
「薬?」
「うん。いいよ、とにかく、伊角さんに会えて良かったよ」
「うん。俺も近衛に会えてよかったよ。元気そうで…は、ちょっとないみたい
だけどな」
伊角の手が、ヒカルの頭をくしゃくしゃとなでた。
「あぁ、そうだ。肝心の用事を済ませないとな」
「用事?」
「会いに来たといっても、ただ顔を合わせに来たわけじゃない。俺は今日、
佐為殿と賀茂の使いとしてお前の元によこされたんだよ」
ヒカルは、ハッとしたように伊角の顔を見返した。
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