平安幻想秘聞録・第一章 16
(16) きっぱりと答えた佐為の言葉に嫉妬するより、ヒカルはなぜか胸の奥 が暖かくなった。佐為が近衛光を愛していてくれて、とても嬉しいと。 「オレも佐為が好きだよ」 佐為が近衛に対して想ってるのとは、違うかも知れないけれど。 「私もあなたが好きですよ。光の代わりとしてではなく」 佐為が自分に向ける好きも、きっと意味が違う。それに不思議と安心 して、今度こそヒカルは襲って来た眠気に任せて目を閉じた。 第一章・終