検討編 16
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「オマエ…ナニ、そのカッコ…」
「…と言いたいのはボクの方だけどね。」
「なん、で……」
「いつまでもそんな格好してると風邪引くぞ。」
「オマエ、いつの間にそんなにちゃんと服なんか着ちゃってるんだよ!!」
「いつの間にって、別に……そう、キミがスケベそうに思い出し笑いなんかしてる間にね。」
と、アキラはボタンを止めながらせせら笑う。
「一人で勝手に着てるんじゃねぇよ!」
「勝手ってなんだ。そんなの、着ようが脱ごうがボクの勝手だろう。
ああ、だからキミもハダカでいたいんだったらいつまでも一人でその格好でいればいいさ。」
そのままアキラはヒカルを置いてすたすたと部屋を出て行ってしまった。
虚しい。
ちぇ。塔矢のヤツ。可愛くねぇ。
仕方なしにヒカルが床に散らばってる服を拾い上げてもぞもぞとそれを着込んだ。
「もう本当に時間も遅いし、疲れたから今日はもう帰ろう。」
疲れたから、ね、あっそ。ああ、オレも疲れたよ。どっと疲れた。がっくりだ。
不貞腐れたように歩くヒカルに、アキラが問いかける。
「進藤?何か怒ってるのか?」
けれどヒカルは応えずに黙ったまま足を引き摺るようにして歩く。
「何を怒る?言いたいことがあるんなら言え。」
立ち止まって、脹れた顔でアキラを見上げて、ヒカルは言った。
「……オレが怒ってるとしたらおまえがヤらせてくれないからだろ。」
「進藤!」
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