クチナハ 〜平安陰陽師賀茂明淫妖物語〜 16
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――こっ、こえー。
思わず一歩退いてしまった光の横で、佐為はにっこりと微笑み頷いた。
「いいですとも!皆さん勉強熱心ですね。午後からは時間が空いていますから、
こちらに窺って指導致しましょう」
御簾の内からキャーッと黄色い歓声が上がった。
あかりが嬉しそうに顔を輝かせる。
「ありがとうございます!よかったぁ、佐為様最近あちこちからお召しがあって
お忙しそうだから、お願いしていいのかなぁってみんなで悩んでたんです!
それじゃ、中宮様の御座所まで私がご案内しますね」
弾むように先に立って歩き出したあかりの後について、
佐為が御簾の内に向かいもう一度にっこりと花のように微笑みかけると、
今度はほうっ・・・と感嘆の溜め息が洩れた。
バタバタと幾人かが失神して倒れた気配すらする。
――こ、コイツって・・・
多少引いた笑みを浮かべながらついて歩く光をよそに、佐為はうきうきした声で
「最近碁に興味を持ってくださる人が増えて嬉しい限りです。私ももっともっと
精進して、皆さんに追い越されないようにしないといけませんね!」
と呟いていた。
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