sai包囲網 16


(16)
『佐為、佐為っ!』
『ヒカル!』
 思わず助けを求めるように頭上に伸ばされたヒカルの手を、佐為は触
れることができないのも忘れて、咄嗟に握り締めていた。すり抜けてし
まう指と指。ばたりと掌を上に向けて畳に落ちたヒカルの手に、せめて
もの支えとばかりに佐為は手を重ねる。この手がヒカルに訪れる苦痛を
少しでも和らげることができたら。
 しかし、そんなヒカルの苦しげな表情にはかまわず、アキラは更に奥
を目指して、腰を打ちつけた。
「あぁ、あぁぁぁぁーーー!!」
 喉が潰れるのではないかと思うほど、苦しげなヒカルの声が部屋の中
に響いた。
 ぐちゅりと厭らしい音を立てて内膣を切り裂いて行く、熱い楔。最奥
に辿り着いた途端、それは無情にも引きずり出され、ヒカルに新たな痛
みを与えた。
「と、や、いた・・・い」
「進藤、力を、抜け」
 ヒカルの中は蕩けるくらい温かく気持ちが良かったが、あまりの狭さ
にアキラも額に汗を浮かべていた。それでも、今更猛っているものを抜
いてくれる気はないようだ。それに引き換え、痛みと恐怖にさっきまで
自己主張をしていたヒカル自身は、力なくうなだれたままだ。
「はぁ、あっ・・・」
「くっ・・・」
 少しでも力を抜けさせようと、アキラは縮こまったヒカルを手の中に
包んでゆっくりと摩り始めた。二人が繋がっている場所と、ヒカル自身
が濡れた音を立てる。
 下肢から背骨を伝って競り上がってくる感覚に、ヒカルはもうダメだ
と思った。アキラに犯されて感じてる。認めたくない事実に、ヒカルは
佐為を仰ぎ見た。



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