守って!イゴレンジャー 16
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──イゴレンジャー総司令部。
「大変です!井上さんmeが発動されました!」
「なにぃ…一体どこのバカが進藤君を怒らせたんだ?」
「詳細は今のところ不明ですが、井上さんmeの周辺に強力な電磁波が発生し、
今も勢力を増しています。このまま放置しておけば電磁爆発を引き起こしかねません!」
「棋院ロボも危険な状態です。というか、奈瀬君の行動が危険です!」
「もし仮に負けでもしたら帝國軍の修理費もこっちが負担しなければならないからな…」
「なんとか示談に持ち込めませんかね?」
「示談より和解だろう」
「それにしても帝國の若造はいつもケンカ腰でいかん、前王である奴の父親とは
争った事など一度もなかったんだが…」
「少年帝王のお目当ては進藤君らしいですよ?」
「そんなことよりもうすぐ日没です。時間がありません!」
「しかたない、道策のイベントに参加している棋士に立会いを頼もう」
「そうしましょう」
さて、アシワラーのアドバイスどおりに公団見学を申し出た帝王アキラ。
高貴な身分ゆえ所得波の攻撃に合い少々傷ついたものの、
なんとか公団ハリケーンをやりすごす事が出来た。
「行こう、ハマグリゴイシ!レッドが待っている!」
ぱからんぱからん、軽妙な足音をひびかせながらアキラは白馬を走らせる。
野を越え山を越え、やがて小川を飛び越えたところで、橋のたもとで膝を抱えている
ヒカルを発見した。なんという偶然!
「フハハハ、レッド!ここで会ったがひゃく……?」
馬上から例の如く口上を述べようとしたアキラは、
ヒカルの目に溜まった涙に気付き、声のトーンを落とした。
「どうしたレッド。泣いているのか」
「泣いてねェよ…ただ、ちょっと疲れたかな……」
初めて見るヒカルの落ち込んだ様子にアキラは面食らい、馬から下りてヒカルの隣に腰掛けた。
「何があった。ボクじゃ頼りないかもしれないが、話だけなら聞いてやってもいい」
「…お前、血が出てるじゃねェか!」
「これはキミを追いかけて公団を抜ける時にちょっと掠っただけだ」
本当は泣きたいほど痛かったが、ヒカルに弱虫泣き虫陰金田虫と思われたくなくて、
アキラは歯を食いしばって耐えた。少年帝王は少し大人になったのだ。
「そうまでしてオレの事…お前、なんでそんなに一生懸命オレを追いかけるんだ?」
「──何故かな。理由なんてもう忘れた」
アキラはとぼけた。本当は大切にしまってある幼き日の思い出がある。
でも、ヒカルはきっと忘れてしまっているだろう。
「じゃあさ、帝王である自分に嫌気がさした事は?」
「ないな。キミはあるのか、イゴレンジャーである事を苦痛に思う時が」
アキラの凛とした目が真っ直ぐヒカルを見つめている。
傷心のヒカルをゲットするチャンス!?
頑張れ少年帝王!でもこの話は好手戦隊・イゴレンジャー!!
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