失楽園 16


(16)
「あっ」
 ヒカルが一際高く声を上げた。そして両足に力を入れ、その間にいる緒方の身体を拘束する。
 だがその拘束はどこか甘えを含んだ弱いもので、緒方がその周辺にいくつも口付けを落としている
うちに次第に弛緩していった。
 ヒカルのそれは、直接的な愛撫を求めて健気に立ち上がり、ヒカルが身体を跳ねさせるたびに
連動してピクンピクンと揺れた。緒方は少し笑い、砲身の反り返り具合を確かめるように右の指で
下からゆっくりとなぞる。そしてつるりとした鈴口の先端に爪先を突き立て、クイとこじ開ける
ように動かした。
 緒方を挟んでいる2つの脚が不規則な間隔で緒方の肩を締め付ける。ヒカルの限界が近いことを、
それは教えていた。 
「――達きたいか?」
「んっ、いき……たッ………」
 自然と低くなる囁きにヒカルは何度も頷いた。緒方の更なる愛撫を待ちわびて、ヒカルは見せ
つけるように下半身を何度もくねらせている。
「センセっ………!」
 人差し指を突き立てられ、親指でその裏側を刺激される――ヒカルはじれったい刺激を与えつづ
ける緒方の手を掴み、自分のそこに押し当てた。
「もう………っ!」
 ヒカルは愛撫をせがみ、緒方の手の中に陥落寸前だった。緒方は微笑んで愛人の表情を窺う。
手を伸ばせば触れられる位置にいるアキラの顔色は、紙のように白くなっていた。



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