スノウ・ライト 16
(16)
ある日、いつものように留守番をしていると、碁石を売る声が聞こえてきました。
ヒカル姫、三度の飯より碁石が大好きです。
嫉妬深い小人たちから、誰が来ても開けてはいけないと言われていましたが、ヒカル姫は
開けてしまいました。
「それ碁石? オレに見せてくれよ」
「お安いごようでございます。この碁石はとてもすばらしいもので、厚みがあり、貝で
できております。他の碁石とは一味違いますよ」
「へえ、一味違うんだ」
手渡された碁石をヒカル姫は口に含んでみました。
「うっ」
喉を押さえ、ヒカル姫はもがきました。碁石が詰まったのです。
しかし碁石売りは微動だにせず、苦しむヒカル姫を見ているだけです。
やがてヒカル姫は倒れてしまいました。
「ふふふ。わたしの言葉を真に受けて、毒で煮込んだ碁石を食べるなんて馬鹿ね。
さあ、これでわたしがヒロインよ!!」
碁石売りの正体はお后様でした。お后様は笑いながら城へと戻っていきました。
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