初めての体験 16
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アキラにはそう言って出てきたものの、ヒカルの気持ちは重かった。
倉田のあの巨体では、ヒカルはつぶされてしまうのではないだろうか。
やっぱり、このまま引き返そうか。倉田の家の前まで来てまだヒカルは
迷っていた。
「進藤?」
ヒカルが悩んでいるうちに、当の本人に後ろから声をかけられた。
どうやら、買い物帰りらしく、コンビニの袋を下げていた。
「倉田さん・・・。」
改めて倉田を眺めると、やっぱり大きい。小柄なヒカルが二人いや、
三人は入りそうだ。身長も高いが、それにもまして横幅がでかい。
「何、やってんの?」
ヒカルは覚悟を決めた。
「倉田さんに一局打って貰おうと思って。」
ヒカルはにっこりと笑いかけた。
倉田はあっさりと了承し、ヒカルを家の中に招き入れた。ヒカルの予想に
反して、倉田の部屋の中は意外と奇麗に片づいていた。
「へえ、倉田さん、案外奇麗好きなんだ。頭、ぼさぼさだし、ズボンもシワだらけだから、
もっと、散らかっているかと思った。」
「ハハ。進藤ラッキーだな。昨日掃除したばっか。」
倉田は人懐こい笑顔を浮かべた。ヒカルは、倉田が嫌いではない。性格は
単純で明るく、ヒカルと似たところがあった。
座布団を碁盤の前に、敷いている倉田の背中にヒカルは抱きついた。
「進藤?」
倉田はビクともしない。もしかしたら、蚊が止まったくらいにしか、感じて
いないのかもしれない。そんな、倉田の耳元に唇を寄せて、ヒカルは囁いた。
「倉田さん・・・オレと・・・しない・・・?」
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