魔境初?トーマスが報われている小説(タイトル無し) 16 - 17


(16)
突き抜けるような痛みと熱さ。和谷と繋がっている場所が、じりじりと焦げてるんじゃないかと思えるほど。
もの凄い衝撃と、それがおさまったと思ったらこんどは圧迫感。
こんなこと、今まで経験したことがなかった。どうしたらいいのかわからない。
だから俺は必死に和谷に縋る。この苦しみを与えている男に。
「わやっ…やぁっ…」
「お前ん中、すげぇ熱い。俺のこと、咥え込んでる。すげぇ…わかる? 俺たち今、繋がってるのが」
だんだん表面のぴりぴりした痛みに慣れてくる。
同時に俺の中に息づいているものの存在を強く感じる。どくどく脈打ってて、大きくて、熱いものが、確かに今俺の中にいる。
和谷だ。 和谷が今、俺の中に入ってる。

「ちょ、動くのむりっ!」
「悪い、我慢できねぇよ」
「ああっ…わやぁ…っ、あっ、痛いっ……!」
動くと痛みがぶり返してきて、圧迫感も増してくる。
「進藤。大好き。大好き、愛してる」
快感なんて、ひとつもなかった。
どこにもなかった、けど。
「あっ…おれ、も…和谷のこと…っ」

大好き。


(17)
目を開けると、部屋の中は真っ暗だった。
そばになにか、あたたかいものがいる。それが和谷だって気づくまでに数秒かかった。
唇が触れそうなほど近くに和谷の顔があることに、やっぱりどきどきでぃた。
変なの。もっと凄いこと、やったばかりのくせに。

「・・・っ! いたぁ・・・」
身体の状態を見ようと上半身を起こそうとして、鈍い痛みに思わず悲鳴をあげた。
慌てて和谷のほうを見ると、起きた様子はない。和谷のほうも相当疲れているらしかった。
起き上がるのは諦めて、その代わりにそろそろと掛布団を捲って覗き込む。
身体のほうは綺麗になっていた。べたべたしてないし、さっぱりしているのが感覚的にもわかる。
たぶん、和谷が始末をしてくれたんだと思う。
「ありがと、和谷」
そっと瞼にキスしてみた。なのにうるさそうに眉根を寄せられて、ムッとする。
ま、現実なんてこんなものだよな。

下半身は完全に麻痺していて、重たくて鈍い感覚しか伝えてこない。
そのなかで、和谷と繋がっていた部分が抉られたみたいに巨大な穴が穿たれているように思えた。
はっきりいって、初めてのセックスは死ぬほど痛かった。
挿れられてからは、快感なんてひとつもなかった。

だけど。 だけどさ、思うんだよ。
身体に開いた、大きな穴。
そこにあったはずの抉られた部分は、きっと心の隙間を埋めたんだって。
俺と和谷の間にある、距離を埋めるために使われたんだって。

だから、たぶん。
俺はまた、和谷に抱かれるんだろうって思った。

<終>



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