○○アタリ道場○○ 16 - 18
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おかっぱは誇らしげに兄貴に向かって言う。
「この家では、ボクの成す全てのことが法則ですから、よく覚えていて
ください」
兄貴は朦朧とする意識の中で、改めて おかっぱを見た。白い割烹着と
両手のハリセンが、なんだかとても眩しく目に映った。
次の日、おかっぱは目覚めよく起きた。
窓を開けると、空が高く澄んだ空気の漂う気持ちのいい朝が眼前に
広がっていた。
ウーンと背伸びのしながら、今日の朝ご飯は どうしようかと思いを
巡らせる。
「ダシ巻卵、アジの開きに大根おろしをつける。あと納豆の中に沢山の
葱の刻んだ物。それと三つ葉の吸い物にしようかな」
おかっぱは、早速 純白の割烹着・三角巾を身に付け、廊下を歩きながら
アレコレと、朝の献立を組み立てる。
そして客間の部屋の戸を少しあけた。そこには緒方兄貴が大の字で
畳の上に寝転がり、スヤスヤと寝息を たてている。
つくづく大人気なく子供のような人だなあと、おかっぱは兄貴の寝顔を
見ながら そう思った。
ちょうど そこへお隣の佐藤さん家の猫のタマが客間に入ってきた。
タマは寝ている兄貴の額を左足でチョイチョイと、突っついている。
兄貴は「コノー、待てぃクソジジイ──!!」と、ゴニョゴニョと寝言を
言っている。
ヤレヤレ、どんな夢を見ているんだかと おかっぱは客間を後にした。
おかっぱは、台所に行き冷蔵庫から200cc入り牛乳瓶を取り出す。
それを縁側で蓋を開け、腰に手を当てて牛乳をゴクゴクと、一気飲みする。
「あー、朝はコレがなくちゃね」
お袋おかっぱの顔は、こぼれんばかりの笑顔が溢れ、白い歯がキラリーンと
爽やかに眩しく光った。
<お袋おかっぱノ巻・完>
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気-173 : ○○アタリ道場○○(.QypifAg) sage | 2003/08/06(水) 00:16
お父さん、日本は長期の梅雨が終わり、本格的な夏が訪れました。
照りつけるような強烈な日差しを肌に感じ、やっと夏らしくなってきたと実感
する今日この頃のボクです。
お父さんは、今頃台湾で碁の鍛錬に力を注いでいるのでしょうね。
今、ボクは緒方さん・芦原さん、そして お母さんの4人で海釣りに来て
います。釣り船で海に出ているので、本格的です。
毎日囲碁漬けの生活を送っているボクにとって、目の前に広がる風景は
とても新鮮で、頬を掠める潮風も本当に気持ちがいいです。
コバルトブルーの海に浮かぶ小さな島々に、波と一緒に飛びはねるトビウオ。
空一面に踊るように、もくもくと湧きあがる白い雲の群れ。
どこまでも果てしなく続く青と空だけの世界。
ボクの目は、それらに釘付けです。
ええ、お父さん・・・決して後ろの人達の姿は見ないようにしています。
ボクは見ていません。見ていないったら、見てないですっ!
芦原さんが船酔いをしないように服薬したものは、実は下剤だったなんて。
それに気付いたのは、すでに釣り船は港を出た後。
現在、芦原さんはトイレにこもっている状態だということはボクは
知りません!
ボクの目に映るのは、綺麗な海だけです。
(どうやったら、そんな間違いが出来るのか謎です。)
・・・・・・ああ、お父さん・・・・、だけどボクの目の前で緒方さんが眼鏡をしたまま
金メラ入りのフンドシ一丁で、気持ちよさそうに平泳ぎをしています。
せめて、泳ぐ時は眼鏡を外せばいいのにと思うのですが。
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それに、この海はサメが出て人を襲うから気をつけろと、地元の方が言って
いたのに、その助言を無視して緒方さんは好き勝手なことをしています。
実際にサメが出たら どうするのでしょうか。
・・・って言っているうちに、本当にサメが出てしまいましたっ!!
おっ、緒方さんが危ない!!!
ボクは、どうしていいか分からず、トイレにこもりきりの芦原さんは
ほっといて、船内にいるお母さんを思い出し、キッチンのドアを開けました。
・・・・・・ああぁ、お父さん・・・・、ボクは目の前の光景は本当に現実なのだろうかと
疑っています。
だって、暗い船内のキッチンで お母さんがマンガ日本昔ばなしによく登場
するような、どデカイ包丁をシュッシュッと石で磨ぎながら、
「腕が鳴るわぁ〜、腕が鳴るわあぁあああ〜、
新鮮な海の幸よ、主婦の腕の見せどころよ!
オ―――――――――――ホッホッホ──ォオ!!」
と、雄たけびをあげています。
・・・・・・ああぁあ、お父さん・・・・、きっとボクは疲れているんでしょうね。
これは全て夢なんですよね。
でも、この状況で頼りになるのはボクだけだ。
かろうじて、それだけは分かるので緒方さんを助けられないかと必死に考えを
めぐらせ、とりあえず浮き輪にロープを巻き、緒方さんの方へ、それを投げま
した。
・・・・・・ああぁああ、お父さん・・・・、緒方さんにはボクの助けなど皆無でした。
緒方さん、サメと取っ組み合いのケンカを始めました。
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