スノウ・ライト 16 - 18
(16)
ある日、いつものように留守番をしていると、碁石を売る声が聞こえてきました。
ヒカル姫、三度の飯より碁石が大好きです。
嫉妬深い小人たちから、誰が来ても開けてはいけないと言われていましたが、ヒカル姫は
開けてしまいました。
「それ碁石? オレに見せてくれよ」
「お安いごようでございます。この碁石はとてもすばらしいもので、厚みがあり、貝で
できております。他の碁石とは一味違いますよ」
「へえ、一味違うんだ」
手渡された碁石をヒカル姫は口に含んでみました。
「うっ」
喉を押さえ、ヒカル姫はもがきました。碁石が詰まったのです。
しかし碁石売りは微動だにせず、苦しむヒカル姫を見ているだけです。
やがてヒカル姫は倒れてしまいました。
「ふふふ。わたしの言葉を真に受けて、毒で煮込んだ碁石を食べるなんて馬鹿ね。
さあ、これでわたしがヒロインよ!!」
碁石売りの正体はお后様でした。お后様は笑いながら城へと戻っていきました。
(17)
第二部後編終了です。引き続き第三部を上演いたします。
繰り返しになりますが、上演中はお席を立たれたり、大声をお出しにならないよう
お願い申し上げます。
それでは『スノウ・ライト』をお楽しみください。
(18)
棺のまわりで小人たちは泣いています。
花に埋もれたヒカル姫はたいそう清らかに見えました。
小人たちはヒカル姫の弔いを、胸が張り裂けそうな思いでしていました。
いえ、張り裂けそうなのは胸ばかりではありません。
小人たちはみな股間を押さえながらうずくまっていました。
ああこんなことなら、土下座して無様な姿をさらしてでもヒカル姫に相手をしてもらえば
良かった、と悔やまれてしかたがありません。
そんなふうに悲しみに沈んでいた小人たちの小屋の前に、一台の車がとまりました。
降りてきたのは白スーツに身を包んだ男です。
「きれいな姫だ。俺に譲ってくれないか?」
男はヒカル姫を見るなりそう言いました。ワヤは目をむきました。
「誰だよ、アンタ!」
「通りすがりの者さ。おい、グーを出してみろ」
ワヤがグーを出すと、男はパーを出しました。
「よし、俺の勝ちだ! 譲ってもらおう」
「何言ってんだよ! だいたいヒカル姫はもう死んでんだぞ!」
「死体でもかまわん。十分ハァハァできる。俺のものだ」
そう言うとヒカル姫を抱きかかえようとしました。
そこへ車の助手席から誰かが慌てて降りてきました。
「オガタさん! ヒカル姫はボクのものだとおっしゃったではありませんか!」
隣国のアキラ王子です。その表情は怒りに満ちていました。
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