白と黒の宴2 16 - 20

(16)
「相変わらず感度抜群やな…。」
指の腹で、その箇所を円を描くように集中的に刺激されて社の腕の中でアキラの体が
電流を流されているようにビクビク震えた。
「進藤も試してみたいで。まだ童貞みたいやったが。見ればわかる。…ありゃまったくのガキや。」
指の動きは次第に激しく力が込められて行く。アキラは吐息が混じる声で叫んだ。
「…進藤には、手を出すな…！」
「それはお前次第や。」
「どういう意味だ…！」
だが、もうその時点でアキラは限界点に達しかけていた。指の動きもさらに激しくされる。
「んんんっ…！」
内壁が締まり、アキラの腰が浮き上がって上半身が仰け反る。
それを冷静に観察していた社はギリギリで急に指の動きを止め、引き抜いた。
殆ど放出しかかっていたものが最後の押し出しを与えられず収まっていく。
「っ…！？」
頬を紅潮させ、目を潤ませてハアハアと荒い呼吸をしながら、アキラは社を睨み付ける。
「指でイカせるのは、勿体無いわ…。」
社はニヤリと笑うとアキラの腕を取って立ち上がらせ、シャワーのコックを捻る。
アキラの体の泡を丁寧に流す合間にも社は唇を何度も合わせた。
そして脱衣所からバスタオルを取ると大雑把にアキラの体を拭き、ひょいと抱え上げる。
アキラは既に抵抗する気力を手放していた。

(17)
「お、エエもんがある。」
途中社は洗面台にあった小さなローションの瓶を取り、アキラの体を部屋の中央のベッドに運んだ。
殆ど投げ出されるようにしてベッドの上にアキラは社の体全体で押さえ付けられ、
額から順にキスをされて行く。
唇を捕らえられ、貪られる。
もうこれで今日何度社と唇を重ねたかわからなかった。
今まで会えなかった時の分まで奪おうとするように、餓えに備えるように社はアキラの唇を吸い続ける。
そうしながらアキラの両足を抱え加減にして間に体を分け入れる。
「なるべく辛うないようにしたる…」
社はローションの瓶を取って中の液体を今から自分が征服する部分にたっぷり馴染ませた。ヒヤリとした
液体の感触にアキラが身を震わす。固く熱を持った先端部分を足の間の中心に押し当てられる。
アキラは覚悟したように目を閉じて身構えた。
何かぬるぬるとした中でしばらく軽い圧迫感があった後、アキラの腰を押さえる社の手に力が入った。
「うんっ…」
社の息を飲むような声と同時に、ズブズブと肉体を押し分けられる感覚がアキラを貫いた。
「は、うあっ…！！」
浴室で充分にほぐされ、ローションで摩擦を取り払われて互いに驚く程にあっというまに
社自身がアキラの中に飲み込まれた。
「あっ、ああ…っ！！」
体内を電流のように熱が駆け抜けて、思わずアキラが悲鳴をあげた。
ぎりぎりまで高められていたその部分に異物が通過する刺激にアキラの体は耐えられなかった。

(18)
挿入と同時にアキラが体液を放つのを社は驚いたように見下ろしていた。
淡い照明の下で、濡れた髪を頬に貼り付かせ涙ぐみ、体のあちこちを桃色に染めてビクンビクンと
体を仰け反らせて痙攣させているアキラはこの上なく艶かしく妖香を漂わせていた。
社は嬉しそうに口の端を歪め、舌で自分の唇を舐める。
「すげエ…、思った通りや。…あんたは、ホンマモンや…。」
社はアキラを強く抱きしめ、腰を突き動かし始める。
「ま…待って…まだ…」
射精感がまだ消えないうちに更に刺激を与えられてアキラは悶えた。
それでももう止められないと言った感じで社は目一杯アキラの体内を掻き回す。
「お願い…そ…んなに……ああっ、」
必死でアキラは社の体から離れようともがくが、社の両手ががっちりとアキラの肩と腰に
回されてしまっている。
「ああ、…やっぱ、気持ち…いい…お前ン中…」
社はアキラの内部を味わうことにすっかり夢中になっていた。
体が軋むほどに社の抽出を受け、ふとアキラの脳裏に別の人物が浮かんだ。
社よりひと回り大きく逞しいその体によって自分に与えられたものを、
自分を見つめる冷ややかで深い眼差しを思い出していた。
なぜヒカルではなく、その人なのか、アキラにはわからなかった。
だが、その瞬間じんと体の奥深くが痺れるような感覚が起きて熱を放ったばかりのはずの
アキラ自身が張り上がった。
「は…あっ…っ」
アキラが腰を浮かし、下肢を震わせる。2度目の限界が迫っていた。

(19)
それに気付いた社は閉じかかろうとするアキラの両膝を抱えて広げ、より深くまで
届くように体を折り曲げると、一層激しく腰を動かした。
「うああっ！！」
べッドとともにアキラの体がさらに軋んで悲鳴をあげる。アキラが激しく首を振って
社に動きを緩めるよう乞う。
「ダ…メ…っ」
当然それは聞き入れられず前回の余韻が消えない内に次の波のうねりがアキラの中を走った。
「あ…っ、あーっ…」
「ああ、その声や、ずっと聞きたかった…」
「は、ああっ！！」
重なった二人の体の隙間からアキラが新たに放出した白濁の液体が流れ出る。
社が喉の奥から吠えるような声をあげる。
「ぐっ、ううっ！！」
アキラの内部でひときわ社のモノが膨れ上がり、ひと呼吸遅れて社がアキラの腸壁を熱で焼く。
長い間求めていた場所に辿り着いたそれはかなりの量でアキラの内部に広がって行った。
それでも一向に衰えを見せる事無く若々しく雄々しく熱く脈打ち、固さを維持したまま
内部に留まっていた。
朦朧として横たわるアキラの唇を軽く吸うと、首筋から胸へと社は優しいキスを這わせた。
胸の突起を口に含んで舌で柔らかく愛撫する。
「…うう、ん…ん…」
激しい行為の後に打って変わって甘く刺激を与えられて、アキラの唇から甘い吐息が漏れる。

(20)
放出して萎えたアキラ自身を手で握り込んで愛撫し、社はアキラの体内で再びゆっくり動き始める。
一つ一つのキスや刺激に敏感に反応してアキラの体内が締まる感触を楽しむ。
「は…あっ、ん…、んんっ」
アキラの声に嗚咽が混じり、社の手を掴んで動きを止めようとする。
「足、閉じるなて、手エ離せ、邪魔や。」
少しでもアキラが刺激から逃れようとするのを社は制し、何度か繰り替えしてやがて
アキラはそれに従うようになった。
固く熱いものが体内を滑らかにゆっくり動いている。それだけで下半身が溶けていきそうだった。
今やアキラ自身が快楽の波に取り込まれていた。社以上に飢えていたのは自分の方だと思い知る。
社が参加する代表戦を観る為に棋院会館に足を踏み入れた時から、この瞬間を心のどこかで
想像していたのかもしれない。
優しすぎる愛撫に物足りなさを感じ、アキラは自ら腰を動かし始めた。
「ようやく素直になったな…。それがお前の本性や…」
社のその言葉を否定出来なかった。肉体がより深い快楽を求めて自分の意志とは裏腹に勝手に動いてしまう。
アキラのそういう反応を待ち望んでいたかのように、社も徐々に腰や手の動きを速めていく。
社は自分自身を抜くかのようにアキラ自身を包んだ手動きを激しくし、
腰をアキラに打ち付け、内部をえぐり、掻き回す。
「はあっ、ああっ…！、あー…」
ガクガクとアキラの体が震える。社の口からも激しい呼気が漏れていた。