ヘタレ 16 - 20


(16)
ああ、本当にゴメンな、進藤。今度は痛くない様にと思ってたんだけど、我慢出来なかったよ。
今日二回目だからだろうか、一回目みたく挿入した瞬間に果てるという事はなかった。
一度涙は止まったものの、今度は痛みからくる涙が進藤の瞳から溢れ出してくる。
しかし、俺はそれを見て更に興奮するだけで、進藤を気遣ってやれなかった。ただ、ひたすらに
腰を動かした。
きつく狭い、進藤の中。
俺の下で泣く、進藤。
白い姿態に咲く、俺の点けた跡。
全てが俺が夢見た光景だった。
そして、これは現実。
いつの間にか俺も泣いていた。
泣きながら、もっと快くなるようにと到達するべき所を目指して動かし、程なく俺は射精した。

(無事ではないが)行為は終了し、俺も冷静さを取り戻し進藤の身体を気遣う余裕が出てきた。
進藤の方を見ると疲れきった表情で、俺の方をぼんやりと見ている。
その視線がどうもいたたまれなくて、思わず謝ってしまう。
「…また、無茶をしてしまって…すまない…」
俺の一歩意的な無茶で消耗しきっている進藤は、ふらふらしながらも行為の余韻を残した熱い
身体を摺り寄せてきて、息も絶え絶えに、
「…伊角さんは、どこにもいかないよな…?」
そう言った。
何か、あったんだろうな。行為の前にも感じた。しかし、聞ける状況ではなかった。
俺はただ、進藤を抱き締めた。
それに満足したらしく、俺の胸で安らかな眠りについた。


(17)
情事の前に必ず聞いてくる。
「…離れたくない。ずっと一緒にいてくれるよな?…伊角さん。」、と。
本当は俺が求められていないということは明らかだった。いくら愚鈍でも解る。
どうしてなんだ、何でそんな事を聞くんだ。ずっと一緒にいる。駄目なのか。俺じゃ駄目なのか。

そうやって、俺達は少なくない頻度で肉体関係を持つ様になった。
最初こそ先走ってしまい進藤を傷付けるばかりだったが、今ではかなりの快感を与えられていると思う。
もう何度触れただろうか、艶めかしい腰のラインをなぞりながら進藤を引き寄せる。
「伊角さん」
「してもいいか?」
否定なんかする筈ないと解っているのだが。
返答が出てくる前に、進藤の俺のシャツを握る手に力が入る。
それを肯定と受け取り、進藤の唇を啄ばむ。

お前の中に、本当に俺の場所はあるのか?俺はお前だけを見てここまで来たのに。この胸の中に強く
抱き締めていると思っているのは俺だけで、実際はもっと遠い場所に居る様な気がする。イヤそんな筈は
ない。俺の動きにイイと泣き、もっとと求め身体を開いたじゃないか。現実だ、そう今だって。
初めて進藤を犯した時に迷い込んだ迷路は、今になってゴールがないと気付く。
しかし、今更スタート地点に戻れる筈もなく。俺は行き止まりしかないこの迷路を延々と迷い続ける。
ベッドに進藤をうつ伏せにし、背中に覆い被さる様に押さえつける。
鼻先で首筋に触れた瞬間、小さな嬌声が上がる。
ゴールにはお前がいるのか?なぁ、進藤。
手早くベルトを外し、ズボンを下ろすものもどかしくファスナーを下げたら直ぐに手を入れる。
多分、お前も違う迷路の中で迷ってるんだろうな。
性器を繰り返し擦り、袋を揉みしだき先端を弄ぶ。もう既に先走りで濡れている。
進藤が本当に求めている誰か。
前に刺激を与えたまま、深く繋がる為に体重をかけて腰を落とす。
何で俺じゃないんだ。


(18)
こうみょさんの越智待ち〜(;´Д`)ハァハァ

「ひあッ、あ、あん、いッ……すみ、さ…」
俺の侵入に、可愛い声を上げる進藤。ああ、後ろからじゃ顔が見れない。失敗したな。
どうすれば進藤、お前は俺を見てくれるんだ。
一度抜き、身体を返し挿入し直す。ズボンを履いたままだったので足を広げる事は出来ないが、
顔は見える。これでいい。
俺の動く振動によってベルトの金具が進藤のものに当たって予想外の刺激を与える。
「…!、イ、イ…ク、ねぇッ、呼んでッ、な、まえ、おネガ…い…」
進藤はイク直前になると、自分の名前を呼んでとせがむ。誰が呼んでいたんだ?
「ヒカル…いくぞ…」
本当は呼びたくなかった。しかし、俺も限界で。虐める余裕がない。…情けない。
高みに…到達すべき場所に向かい動きを早める。
痙攣する進藤の内壁の動きに導かれ、中に欲望を吐き出した。


(19)
「なんかさ、進藤、変わったよな」
「え?」
久しぶりに会った和谷から出た言葉。
変わった?進藤が?
「ホラ、アイツ、一時期メチャクチャ落ち込んでたじゃんーって、伊角さんはその時の進藤知らないか。
まあアイツが元気になったのはいいんだけどさ、この前の手合いで…」
和谷の言葉を適当に聞き流し、最近の進藤を思い出してみる。

……
………
駄目だ。
…進藤とのセックスしか思い出せない。
次第に顔がにやけてくる。いかん。
イヤ、しかしコレは男として正しい思考だ、うん。でも、人間的にどうか。
落ち着こうと、目の前にあるコーラを手にした瞬間…
「和谷じゃん!伊角さんも!」


(20)
不意に掛けられた声に驚いて、手の中のコーラのカップを握りつぶしていた。
「あーもー、何やってんのさ、伊角さん」
「うっわ!ちょ、ポテトまでコーラまみれだよ。もったいねぇー」
和谷と進藤の声が遠い。
さっきまで、頭の中で進藤を犯してしたんだ。その進藤が、今、俺の目の前に。
頭の中だけじゃない、現実に進藤とは肉体関係がある。もう数えられない程繰り返した。
そう、どうって事ない。今更何を恥ずかしがっているんだ俺は。
大したことない筈なのに。不意を突かれて、まともに反応出来ない。
「何ぼーっとしてんのさ、ほら、コーラ拭きなよ」
そう言って進藤は俺の隣に座り、下ろした鞄からハンドタオルを俺に差し出す。
「あ、ああ…ありがとう」
受け取ったハンドタオルで手を拭きつつ、思考を正常な方向へ軌道修正させる。ココは
進藤の部屋じゃない、マックだ。今、俺は和谷と飯を食っていて、そこに進藤が来ただけ。
棋院にも程近く、俺達はよく来たじゃないか。だから、ここに進藤が来ても不思議じゃない。
そう、ただの日常のヒトコマ。
「進藤、どーしたんだ?」
呆けている俺を無視して和谷が進藤に話し掛ける。
「ん、棋院に用事あってさ。その帰り。伊角さんポテト貰うよ?」
俺の返答を待たず、進藤はコーラに浸ってないポテトを摘む。みるみる減っていくポテト。
イヤ、ポテトなんかどうでもいい、好きなだけ食べてくれ進藤。代わりに俺はお前を…!違う!駄目だ!
「でさ、今から碁会所行くんだけど、飯食ってから行こっかなって。
そしたらさー和谷と伊角さんいるんだもん。二人で何してんの?」
指についた塩をペロリと舐めあげる。可愛い口から見えるアカイ舌。チロチロと見え隠れするあの舌は、
凄く甘いんだ。食べたい、味わいたい。
「何って、飯食ってダベってんだよ。ハハハ。
碁会所ってどこの?前一緒に行ったところか?」
俺は無視されて話がどんどん展開していく。確かに妄想で会話どころじゃないが。
「うんん…あー…塔矢先生がやってるトコ。結構行くんだ。塔矢と打ちに。」
「塔矢?!塔矢って、あの、塔矢アキラか?」
進藤の一言は、俺を一瞬にして夢の世界から引きずり下ろした。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル