平安幻想異聞録-異聞- 番外 16 - 20
(16)
(もどかしい)そして、そう思った自分にヒカルは、わずかに残った
意識の端でゾッとした。
こんな風に男達に陵辱されて、自分はどこかおかしくなってしまったんじゃ
ないだろうか。
男が笑う。
「わがままなお子には、お仕置きが必要じゃのう。
欲しいのか欲しくないのかどっちじゃ。はっきり言えたら褒美をやるぞい」
男がわざと急所を外して、指をうごめかす。過敏になっている体は
そのわずかの刺激にも跳ね上がる。
「あぁっ」
「上の口は強情だが、下の口は素直じゃのう。からみついてくるぞい」
男の指が、じらすように、わざと急所のまわりだけをやわやわと圧迫する。
「いや、あぁぁ」
ヒカルは身をよじった。欲しい、と思った。まわりじゃなく、ちゃんと
そこに触れて欲しい。
(いやだ)心が悲鳴をあげた。
だけど、体中が熱かった。この熱をどうにかして欲しかった。熱くて…くるしい。
男の左手がいやらしくヒカルの限界まで屹立したものをなであげた。
「ん……く…」
同時に中をゆっくり男の指が行き来する、行き来するたびに、ヒカルの
一番感じる所のそばを掠め、その動きに、わずかなヒカルの意識も、
すぐに濁らされていく。
どうでもいいと思った。自分のわずかな矜恃も。男に犯されているという現実も。
ただ、この熱い泥に埋められたような苦しさから解放して欲しかった。
男が突然、内壁の一点を強く人差指でついた。欲しかった快楽に、
ヒカルは悲鳴をあげて、身を震わせた。
イカせて欲しい。お願いだから。
男がもう一度、こんどは2本指をそろえて駄目押しとばかりに、その場所を強く押した。
ヒカルが体を跳ねさせる。
そうして、ついにヒカルが堕ちた。
「欲しい……」
言った途端、ヒカルの目からポロポロと涙が伝い落ちてきた。
もう止められなかった。
(17)
体の中で男の指が再び蠢きだし、さらに強い刺激がヒカルを襲った。
「あっ、ふぁっ、あん――はぁっ……ん…んっう」
男の指は、ヒカルの中で自由自在に躍動し、その肉の壁をこねるように
2本の指で攻め上げ、時にはその節くれ立った関節でイイ所を圧迫する。
欲しかったはずの快楽が、今はヒカルを苦しめてさえいた。
そうしておいて男の開いたほうの手は、今や自分の大きく膨れ上がった
自らの男根を、傷をさけながらも、激しく摺り上げている。
ヒカルの中をいじる男の腕の動きが大きくなった。
「あ、あぁん、やっ、あぁぁぁ…!」
ヒカルの上げる声は、悲鳴に近い。
一見、出し入れされているだけに見える男の指は、中ではヒカルを
思う存分さいなんでいるのだ。
この男がヒカルにいれてきたものが、男根ではなく指だったことも災いしていた。
男根が慣れない内壁を圧迫し、切れた秘門を擦り上げることでヒカルに
与えていた苦痛は、指ではいくぶん緩やかになっていた。
だがそのぶん、ヒカルの体は快楽に素直になっているのだ。
ヒカルを追い上げるだけ、追い上げて。
そのくせ、ようやっと頂点に達しそうになると、男の手は
ぜんぜん違う場所をもてあそび始める。
じらされてじらされて、あげくに男の指に一番敏感な箇所を突き上げられるたび、
ヒカルの目じりから涙の粒がポロポロと滑り落ちた。
「あぁ、はん、あ、あ、あぁぁあ!」
男の指の動きに合わせて、ヒカルの体が跳ねる。
「やん、や、やめ……っ、あぁ!」
跳ねて身をよじり、耐えられないといった風情で、嗚咽まじりの声をもらす。
男が、自身をしごいていた手の動きが激しく速くなった。
「あ、や、あぁぁ……」
その声に1種の恍惚とした色が含まれていたのは気のせいではない。
男はヒカルの中に指を根元までおしこみ、ヒカルの一番感じやすい部分の壁を
強い力で抉り、掻き出すように動かした。
強すぎる快楽に耐えきれず、ヒカルが首を強く振った。
「や、あぁぁあ!あぁ!あぁぁぁ!」
男の手がさらに強くヒカルの内壁を破らんばかりに擦り上げた。
「あぁ!あぁ!…やぁぁぁぁぁっっ」
男がしごく手を止めて、自分の陽根から白い液体をほとばしらせたのと、
ヒカルが、ようやっと自分の中心の熱を吐き出すことを許されたのは、
ほぼ同時だった。
(18)
男が終わった後も、ヒカルの涙は止まらなかった。
男に強引に犯され、陵辱され、嬲られているにもかかわらず、
その最後の瞬間にまごう事無き悦びを感じてしまっていた自分が
信じられなかった。
男にじらされ追い立てられて、「欲しい」と口走ってしまった自分の
擦れた声が、耳にこびりついて離れない。
あの瞬間、確かに自分はもっと強い何かを、指よりもしっかりと
自分の中を埋めるものを欲していた。
自分の体だけではない、ずっと深いところの何かが壊れてしまった気がした。
今この瞬間は、自分をなぶり陵辱する男達よりも、自分自身の方が憎かった。
「ぼうず、ヨクてヨクてしょうがなかったって顔してるぜ」
そむけていたヒカルの顔の顎を男が強引に掴んで上を向かせる。
「ヨかったって、正直に言えよ」
男の言うように、自分は今、そんな顔をしているんだろうか?
……しているのかもしれない。
また、涙があふれた。
「泣くほどヨかったかよ」
男が笑った。
見たくなくて目を閉じた。
このまま意識を手放してしまえたらいい。
男がヒカルから離れる気配がした。
ぱんっっと大きな音がして、ヒカルは強い力で頬をはたかれた。
無意識の世界に逃げ込もうとしていたヒカルは、痛みよりも、
その音の方に驚いて目を開けた。
――目の前に、4番目の男の小山のような体が覆いかぶさっていた。
(19)
それは、竹林に引き込まれたときに、最初にヒカルの四肢をからめとり、
竹に戒めた大男だった。
ヒカルの体の3倍はありそうな、その体格。他の夜盗風の男達と
比べても二回りは大きい。
この男が、ヒカルの上にのし掛かり、ヒカルの頬を打ったのだ。
「休むには早すぎるぜ」
男が着物の前をはだけた。
すでにそこにそそりたっていた男の鉾は、体格と同じように、
他の男達のよりも一回り、いや二回りほども大きかった。
「やだっっ、………!」
本能に近い部分で感じた恐怖に、ヒカルは手足の戒めのことを忘れ、
思わず暴れていた。
今でさえ苦しいのに、あんなものが入ってきたら、自分はきっと壊れてしまう。
だが、その暴れるヒカルの手足を、男はいとも簡単におさえつけると、秘門の入り口に、
自らの肉槍の先端をそえた。
「…やめて……」
男は、ヒカルの怯えた瞳を楽しんでいるようだった。
熱い槍の先の方だけを、わずかに中にくぐらせる。
「いや……お願い……」
男は容赦なく、自分の槍をヒカルの体につきたてた。
「あぁーっっ!!」
(20)
ヒカルの体が反り返った。男はグイグイとかまわず、ヒカルの中に割り入ってくる。
男の太いモノに貫かれる苦しさに、ヒカルが首をふった。
「あ……あ……いや…」
内蔵を押し上げられる感覚にヒカルが嗚咽をもらす。
「いた……あ……」
男のモノに徐々に体の奥まで割り裂かれ、中の中まで犯されていくのがわかった。
ヒカルは薄く目をあけた。
苦しむ自分をギラギラと獣の目をした男達が見つめているのが目に入った。
「うん……あ……」
男のモノがついにヒカルの最奥に到達した。その根元までがいっぱいに
ヒカルの秘門をひろげて、そこにささっていた。
男が様子を見るように少し腰をゆすった。
「やぁ………」
ヒカルの中をみっしりと占領する男の肉槍は、
意識せずとも、ただ行き来するそれだけで、ヒカルの内壁を擦り上げ、
その一番弱い部分を強く刺激するのだ。
息のつまる圧迫感にヒカルは身をよじる。
これから何をされるかなんて、もうわかっていたけど、怖かった。
ただ、男のモノを飲み込んでいるだけでさえ、こんなに苦しいのに、
これ以上の段階へ男がすすんだら、自分はどうなってしまうんだろうと思った。
だから、無駄とわかっていても、言わずにはいられなかった。
守るべき矜恃など、もはやなかった。
「…や…めて……」
男の腰が動き始めた。
ただ、ヒカルを啼かせるために。
|