弄ばれたい御衣黄桜下の翻弄覗き夜話 16 - 20
(16)
門脇はいらだたしく、思考をめぐらす。さっき自分は、女を抱くときと同じやり方で、
ヒカルの体を責め立てていた。女の膣の中というのは、闇雲につけばいいという
わけじゃない。快感のスポットというものがある。つまりきっと、男同士のアナル
セックスでも同じように、快感のツボのようなものがあるのだ。
――逆らいきれない、その場所が。
門脇はその場所をさがして、あちこちと角度を変えて、深く浅く挿入してみる。
少し腰を落とすようにして、斜め上に向かって突き上げた時に、その反応はあった。
もっと深く腰を入れ、その場所をもう一度、自分の尖端で撫でるようにしてみると、
ヒカルが眉間にしわをよせ、肩をよじるように蠢かした。
「なんだよ、ここがいいのか?」
その門脇の問いに対して、ヒカルは違うというように首を振ったが、体は嘘が
つけなかった。先程と打ってかわって、そこを突かれる度に、上気して色を増す
その頬が、喉の奥から漏れ聞こえる甘いうめきが、正直にその快楽をあらわして
いた。下肢の中心のモノもたち上がり始めている。
(なるほどね)
女ならGスポットと呼ばれるその場所は、男ならちょうど前立腺の後ろあたりだ。
さっきは女を抱くときと同じことをしていたせいで、無意識にその場所を責め立てて
いたのだ。
しかし、それがわかってしまえばこっちの物だ。
門脇は、雁首の段差をつかって、そこを集中的に犯した。
弱点を知られた体はすぐに陥落し、顔をしかめ、辛そうに首を左右に降るヒカルの口
からは、次々と喘ぎ声がこぼれはじめた。
頬に差し始めた紅みは、耳まで広がっている。
「いい顔になってきたじゃねぇか」
その門脇の言葉はヒカルの耳に届かなかった。
すでにヒカルは、門脇の下でなすがままに声を上げさせられていた。
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門脇は、官能を隠しきれなくなったそのヒカルの様子にますます獣欲を刺激されて、
腰を打ち振るった。
弱点を知られたヒカルの体は、もはや門脇に逆らえなくなって、強く揺さぶられる
度に背筋を粟立たせていた。
「んあっ、あっっ、っっ、んあっ、ぁんん」
ヒカルの内壁が、絶頂の予感にざわついている。
門脇は、刺激を与えられ続けて敏感になったその内側の粘膜の壁が、いつのまにか
その弱点の部分だけでなく、その周りや、他の違う部分でも感じやすくなって
来ているのに気付いた。
責め続ければ、そのまま腸道全体で感じるようになってしまうのではないだろうか?
今のヒカルは、門脇が陰茎を使って内壁を嬲っただけでも、何がいいのか高く声を
上げた。
そのうち門脇は、抱えたヒカルの膝頭が、断続的に痙攣しだしたのに気付いた。
バビンスキー反射だ。女がオーガズムを迎えるときに起こるその現象が、男にも
同様に起こるのかと、門脇が感心しているうちに、思った通りヒカルの立ち上がった
性器が白い液体を吐きだした。門脇も、つられるように、ヒカルの体内に自分の熱を
吐きだした。
だが、門脇はそれでヒカルを許すつもりはなかった。ヒカルが頂点に押し上げられた
感覚に茫然と虚空を眺めているすきに、腰に抱えた足を下ろし、その片足にまだ
引っかかっていたズボンと下着を脱がせてしまう。靴と靴下も取り去ろうとしたが、
スニーカーの紐を解くのがおっくうだったのでそのままだ。
ついでに、上半身に手を伸ばし、ワイシャツを脱がせ、アンダーに来ていたTシャツも
首元ギリギリまでたくしあげる。
「やめてよ……門脇さん…」
ヒカルがようやく、弱々しく抗った。
「お前をここまでしこんだ奴の名前を教えろよ、そしたらやめてやるよ」
ヒカルは絶望したように、目をそらした。
そこまでして、ヒカルは誰をかばいたいのか。そんなにその男が大事なのか。
正体がわからぬ男への嫉妬心がかき立てられた。
ヒカルの、なだらかな曲線美を持つ綺麗な足を、Vの次に開かせて今度は肩に抱え上げた。
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入れたままだった性器を、ギリギリまで引き抜いて、もう一度はめ直す。門脇のそれは
放ったばかりとは思えないほど、まだ隆々としていた。
「その男にも、こんな風にいい気持ちにしてもらったのか?」
門脇の荒々しい呼吸に、すぐにヒカルの嬌声が重なった。
二度放出されて、中に溜まっていたものが、門脇のそれが押し込まれるたびに溢れて、
少年自身が放ったものと混じってヒカルの谷間を白く汚した。
「言えよ。言えば終わりにしてやるぜ」
ヒカルは、喘ぎながら首を振った。
「そんなにその男が好きなのかよ」
「…好き……っっとか……んぁん……そういうんじゃ……ない……」
苦しげな呼吸の合間をぬって、ヒカルが答えた。
(それじゃあ、いったい何なんだよ!)
門脇はがむしゃらに、腰を揺すりたてた。
「うぁっっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、うんん……ん……」
肩に掲げたヒカルの足をさらに持ち上げるようにして、腰を地面から浮き上がらせる。
それを上から刺し貫くように責め立てた。
「あぁぁぁぁっ、いやぁぁぁ、いぁぁあ、ぁぁぁ」
途切れない悦楽の声があがって、再びヒカルの体が頂点に持ち上げられた。
門脇も、きつく締め付けられる感覚に、遅れて精液を放ったが、まだ責め続ける
自信があった。
ヒカルは気付いていないだろうが、快楽の糸を引いて挿入された性器をしぼりあげる
動きをするヒカル自身の内壁が、門脇の武器の復活を促していた。
何より、こうなったら、いったい誰に抱かれたのか、なんとしても聞き出したかった。
門脇は、その責め具を挿入したまま、ヒカルの体を持ち上げた。
驚いたように、またヒカルの中筋肉が門脇を強く締め付けた。
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腰に手を添え、こちら側を向いているヒカルの体を回し、後ろ向きにさせる。
その動きに、過敏になり熱を持ったままの狭道をグリリと抉られ、ヒカルがなんとも
甘ったるい呻きを漏らす。
後ろ抱きの座位で、ヒカルに挿入して、門脇は仮借なくその愛戯を再開した。
驚くべきことに、ヒカルの中心もすぐに復活して、門脇の責めに反応して、尖端から
涙のような雫を零しはじめた。
「淫乱だな」
そう、ヒカルの耳元に囁きながら、門脇は後ろから回した手で、ヒカルの両の乳輪を
責めた。
「そんな……こと……っ」
「こんなに感じてるくせに」
乳輪を揉んでいた指を伸ばし、その乳首の尖端をつつくようにして刺激を与えると、
それだけでヒカルはたまらないというような顔をして、よがり声を上げる。
「誰にこんなに仕込まれたんだよ」
ヒカルはただ喘いでいる。
「それとも、生まれつきか?」
門脇は、ヒカルの脇の下に腕を入れて、その体を少し持ち上げ、そのまま自分の
股間に落とした。
一気に深くまで男性器を飲み込まされたヒカルの体が、汗を拭きだして波打った。
門脇はその動きを何度も繰り返す。
やがて、ヒカルは四度目の絶頂に、喉を震わせた。
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静かな真夜中過ぎの公園に、二人の急いた息遣いだけが聞こえていた。後は、
時折り遠くに通りすぎる、自動車のエンジン音が響いてくるのみだ。
固い芝生の上に寝かせられたヒカルの体を門脇が覗き込む。
疲れのためか焦点があっていない。
「言う気になったかよ」
ヒカルは強情にも、また首を振った。
こうなると門脇も意地だった。
しかし、さすがに一息入れたいのも事実だ。
門脇は自分の物を、その秘門から引き抜いた。
だが、ヒカルを休ませてやるつもりはない。
陰物を引き抜くと同時に、白い泥液を淫猥に地面に滴れさせたその秘腔に、門脇は
指を入れた。
ヒカルが、唇を震わすように開いて、何かを掠れる声でつぶやいた。
「もうやだ…、お願いだから、やめて、―――っっ」
その言葉の最後に誰か、自分ではない他の人間の名を聞いた気がして、門脇は動き
を止めた。
ヒカルも、自分の言葉に気付いたのか、瞬時にさっきまでぼんやりとしていた目に
力が戻り、あわてたように唇を閉じた。
「今、なんて言った? もう一度言ってみろよ」
ヒカルの瞳が闇夜の底から、じっと門脇を見返していた。
「そうだよな、言いたくないんだよな。好きなだけ黙ってていいぜ。こっちも
好きなようにやらせてもらうさ。お前が根をあげるまでな」
ヒカルの下肢はすでに互いの熱い樹液にまみれてどろどろだ。
その中心に位置する秘腔の入り口を中指と人差し指でかき分け、奥をさぐる。中にも
まだ樹液が大量に残っている。
門脇は、それをヒカルの弱点をわざと擦るようにしながら、掻き出しはじめた。
「…んん…んぁ………ひん……」
繰り返し繰り返し、ゆっくりと弱い部分を抉られる動作を嫌がって、ヒカルが足を
閉じようとする。
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