ルームサービス 16 - 21
(16)
なのにさ。
携帯持ってどっかいった時、なんか電話かけてたらしくてさ。
やってきたんだよ。
ナニってさ。
部屋に大きな荷物抱えた。配達人が。
(塔矢アキラ様ですね)
(ハイ、ボクです)
(・・・・御注文の品は以上の5点でよろしいですね)
(使い方を教えてくれますか?)
アダルトグッズの通販ってヤツだった。
全くお前の行動力には舌をまくぜ、塔矢アキラ15才。
どこでそんな店みつけてたんだよ。
(アトで聞くと、ヴァイヴの箱に入ってたんだそうだ、ったく)
配達人が品物の使い方をひとつひとつ説明しだすとオレは恐ろしさ
に体が震えた。
それらのモノが自分に使われるとは考えたくなかった・・・。
配達人が最後の品物の説明を終える時にはオレは泣いていた。
「やだよ・・・・塔矢。頼むから・・・・」
「だいじょうぶだよ、ケガはさせないようにするから」
塔矢は安心させるようにキスをしてきたけど。
それらを使おうという塔矢の意思が変わらないんだと思うとオレは悲し
くて嗚咽した。
宥めるようにオレの前髪を愛撫していた塔矢に配達人が、料金を請求した。
現金で支払いをしている塔矢をすすり泣きながら見ているオレを見て
配達人はいやあ、めっちゃくちゃうらやましいなあ、と連発しながら
帰っていった。
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それからあとは。
知ってのとおりだ。
容赦なかった。
オレは拘束具で机の上にしばりつけられ、その上に食いものをのせら
られて、肛門に浣腸機でスープをそそぎいれられ、その上にすっげえ
ぶっとい栓をされ。
あろうことかそれを他人の目に晒された。
「犬、そっちじゃない、こっちだ、こっちをなめろ」
塔矢が俺の体を一心不乱になめている犬の頭をつかんで位置を変える。
犬ははちみつを塗られたオレのアレを舐めようとしたんだ。
意地でもいかせてくれるつもりがないらしい。
でも犬の舌は執拗で。塔矢の指示も的確で。オレは拘束されたまま、
悶える様を晒すしかなくて、わめきつづけてかすれた声はホントにオレ
が出してんのかと思えるほどいやらしく部屋に響きまくってる。
「ぁあ・・・や・・ひぃっ・・あああああん」
全く、よくこんな声がでるな。
食いモノをのせられた上に、舐めまくられった皮膚は一枚うすかわをむか
れた見たいに、敏感になっていて、その上を蠢く犬の舌の与える刺激は
確実にオレの知覚を刺していく。
涙があふれる。わなないた唇に塔矢の唇が重なる。頬を撫でる黒髪
がオレの頬を流れた涙を吸い込んで動く。
オレが体をひくつかせるたびにかすんだ天井がぶれる。
部屋の中で、オレの体だけが剥き出しにされ、ばらばらにされそうなほど
むさぼられ、快楽を耐え、足掻きつづけている。
なんか、オレ人間じゃなくなったみたいだ。
ただ、刺激されて叫び続ける機械になったみたいだ。こんな信じられない
すがたをヒトに見せて平気でいられるのは。オレが人間じゃないからだ。
そんなことを考えるともう何もかもどうでもよくなってきてオレはもう自分
の声をおさえようとしなくなっていた。
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だが、突然。
「わあ・・・ああああ・うっ」
飛んでた意識を引き戻された。
目を見開いて痙攣した。机の上で体が弓なりに反るのがわかる。
「あ・・う・・やめ」
塔矢の指が肛門に入ったのだ。そこは散々にいじめられたせいで、とてつ
もなく敏感になってしまっていた。
舌よりも指の方が刺激が大きい。しかし塔矢の指は容赦なく入り込んできて
外気に晒されて充血したそこで、激しく動き回った。
「わあぁっああぅ」
あまりにもオレの悲鳴がすごいので塔矢は心配になったらしい。
「指だとつらい?」
言って足の間に回って顔をうずめようとする。
だが、それを見た瞬間。
「や・・・やだっつ!!!」
オレは全身で叫んだ。
「やだ。絶対やだっなめるなっ!ヤメロっ!!塔矢!」
オレは力を振り絞って叫ぶ。
きょとんと塔矢がオレを見詰める。
「どうしたの進藤?」
「だって・・・」
「だって?」
「だってそこ舐めた後の塔矢にキスされるのヤダ・・・オレ」
犬の唾液がまざるじゃないかよ。
・・・・・・・・・
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言ったアト、オレはおかしくなってハハと笑った。
何言ってんだ。一体。
こんなとこでこんなふうに縛られて、悶え狂って。足をひろげ
て親にさえ・・・・佐為にさえ晒したことのない。内臓の奥を
ヒトの目に晒して。
でも・・・・。
突然、塔矢が狂ったようにキスをしてきた。頬に、首筋に、唇に
何回も何回も。
オレも泣きながらそれに答える。
好きなんだ。
オレは塔矢が好きなんだ。こんな目に合わされても。変態でも。
なあ・・・塔矢・・・塔矢。
佐為も知らないオレがそんなに見たい?
「進藤・・・進藤・・・・」
塔矢がオレを呼びながら抱きしめてくるのがうれしくて、オレは
また泣いてしまった。
(20)
(進藤、ホラ、たてる)
(や・・・・うごかな・・・オレもう・・・・)
(体あらうから。・・・)
(つれてって・・・・)
(犬、お前は部屋掃除しろ)
(・・・みずが・・・んっ)
(でもあらって欲しいんだろう?)
(・・・・)
シャワーの湯が進藤の金色の前髪を濡らし、涙とまじわり、落ちてゆく。
石鹸をつけて体中を這い回るアキラの手に身をゆだね、ときおり、敏感
なところに水流があたり体を震わせる。
淫らな情景だった。
(21)
それはジムのプールでの出来事だった。
地方で仕事があり、ヒカルが一緒だった。一日、二人で帰るのを伸ばして、
ホテルの付属のジムのプールで泳ごうということになった。
やはり仕事だった緒方がそこにいたのは偶然だった。
いやな気分がしたが、とりあえず、ヒカルが出てくるまでにひとおよぎ
しようかなと思ってはおっていたシャツを脱いだ。
だが、突然緒方が言ったのだ。
「アキラ君、そのシャツは脱がない方がいいと思うが」
「・・・なんですか突然、緒方さん」
不審な顔をして聞き返したアキラに緒方はなんともいえない表情をした。
「・・・シャツ着たままじゃプールに入れません」
緒方が苦笑する。
「いくら強くてもやっぱり子供は無分別だな。・・・・・背中、痛くないのか?」
「背中・・・・?」
緒方が面白そうに読んでた新聞を顔に寄せた時ヒカルの声が明るく響いた。
「まったかあ。わりいな、塔矢、アレエっ緒方センセ?」
緒方は挨拶をしながらヒカルの水着1枚の体をつくづくと眺めた。
「進藤、お前、全然虫さされのあととかないな」
「虫さされ?ああ、オレあんま虫にさされないんだ、蚊ってさ
とまった瞬間わかるじゃん、みんなわかんないっていうけど、
なんでかなぁ?」
「ほお」
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