検討編 17
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「何度も言うがボクは女じゃないんだ。
普通はそういうのは女の子とするもんだろう。男同士でしてどうする。」
「普通なんて知らねぇよ!そんなの!」
あんまりなアキラの言い方に思わずヒカルは食って掛かる。
「知らねぇ、普通なんて。そんな、どっかの女の子としたいなんて、思わねぇ。おまえだから、」
こんなにこっちは必死なのに、平気な顔をしてるアキラが、「普通は」なんて言うアキラが憎らしくなる。
「…いいよ…!もう。塔矢なんか知らねぇ…!」
「進藤!」
顔を背けたヒカルを宥めるように、そっと肩に手を置く。
「進藤…ごめん、ボクも悪かったよ、だから、」
「知らねぇよ…塔矢のバカヤロウ…っ!」
「…そんな事で泣くなよ。」
「なっ、泣いてなんかいねぇ!それに、そんな事って、そんな事ってなんだよ。
そんな言い方ねぇだろ!」
と言いながらも、ヒカルの目は今にも涙がこぼれんばかりで、声も鼻声になってしまっていたのだけれど。
けれど、そんなに泣くほどの事かなあ、とアキラの方では思う。
「そんなに言うんなら、」
ちょっと考え込んでから、アキラはこんな事を思いついた。
「そう……例えば、次にキミが公式戦でボクに勝てたら、考えてあげてもいいよ。」
「えっ…」
思わず、そんなに…?という風な表情をしてしまったヒカルに向かって、アキラは破顔する。
「弱気だな。ボクはそんなに待たされなきゃいけないのか?」
「え、」
突如、華やかに笑ったアキラに見惚れた。
「追ってくるんだろう?ボクを。早く来ないといつまでも待ってなんかあげないよ。」
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