初摘み 17
(17)
ヒカルは、アキラとセックスをするということをもっと簡単に考えていた。知識と
想像力が現実に追いつかなかったのだ。こんなに辛くて苦しいものだとは思いもしなかった。
――――――痛いよ…早く、抜いてくれよぉ
アキラの動きは緩慢で、ヒカルに無理をさせないように気遣っていた。それでも、ヒカルに
とっては痛いばかりで、みんなが言うようにちっとも気持ちよくならない。男女の違いを
差し引いてもコレはあんまりだ。
――――――塔矢なんか嫌いだ!オレがこんなに痛いって……やめてって頼んでるのに…
「うぅ…」
ヒカルを抱きしめるアキラの肩口に思い切り噛みついた。自分に痛い思いをさせる
アキラへの仕返しだった。アキラが少し眉を顰めた。だが、彼は怒る代わりに、ヒカルの
涙の溜まった目尻に口づけをした。ヒカルの子供っぽい意地がアキラには可愛らしく
映ったようだ。緩やかに腰を揺すりながら、ヒカルの髪や首筋に唇を落とす。
ヒクッとヒカルがしゃくり上げた。身体を奇妙な感覚が通り過ぎた。さっき、指を
入れられていた時に感じたあの感覚だ。
「あ…え…?」
ヒカルは狼狽えた。疼痛の中に、微かに混じる甘い痺れ。それが何なのかを確認する暇もなく、
アキラに何度も身体を揺さぶられた。
アキラもヒカルの変化に気がついていた。苦痛を訴えていた唇から、熱い息が吐かれ、
アキラの肌を掠めた。大きな瞳は相変わらず、涙で濡れていたが、目元から頬にかけて
ほんのりと薄桃色に染まっていた。
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