失楽園 17
(17)
「思い切りイクといい」
緒方はアキラを見つめたまま、ひたすら快感を追いかけているヒカルに言い聞かせるように
囁く。意識を飛ばしかけて半眼になっているヒカルに緒方の声が届いているかどうかは判らず、
緒方は殊更ゆっくりと言い聞かせた。
「――アキラくんの見ている前で」
ヒカルははっとしたように目を瞬かせ、隣りに立つアキラの顔を仰ぎ見る。アキラはあくまでも
無表情だったが、ヒカルは目をぎゅっと閉じて壁の方を向いた。顔だけではなく、そそり立つもの
も、色づいた胸も、全てを隠してしまいたいのに、緒方がそれを阻んで許してくれない。
身体の方は既に射精へのカウントダウンを始めていて、自分の意志で止められるものではなかった。
「塔矢、見るっ……な……!」
ヒカルは叫ぶ。アキラが目を背けていてくれればいい。誰かの手によって一方的に達かせられる
ところなど、見られたくはなかった。
だが、そのことを咎めるように、緒方の爪先がヒカルに更なる刺激を与える。それが最後だった。
「――ああっ」
ヒカルが叫びつつ放ったものは綺麗な弧を描き、やがてヒカルの腹を汚した。
|