初めての体験 Asid 17


(17)
 芦原さんの唇から、声にならない悲鳴が発せられた。ゴメン。でも、気持ちいいよ。
ボクが動く度、悲鳴が上がり、芦原さんが身体を硬直させる。そして、彼のその所為は
ボクを心地よく締め付ける。ボクは、彼によって与えられる刺激が欲しくてますます
激しく動く―――の繰り返しだ。
 後ろ手に縛り上げられたまま、芦原さんは、顔を畳に押しつけ呻いている。その顔を
見た瞬間、背中を快感が走り抜けた。
 一気に達してしまいそうになった――――――が、辛うじて持ちこたえた。ここで、
イッてしまったらボクの負けだ。こんなことでは、進藤の相手はできない。進藤は、
もっとスゴイはずだ。だって、S因子を発動できない今でさえ、あんなに……あんな……
ああ!まずい!想像したら余計に…!
 とりあえず、気を紛らわせるため、頭の中で棋譜を並べてみる。………………何とか
落ち着いてきた。ホッと息をつく。
 ……だが……おかしい…なんだか、ガマン大会のようだ。これが進藤との未来への
第一歩なのだろうか?だとすると……達人への道は、厳しく険しいモノなんだな……。
しみじみと思った。

 「ああ…んん…あきらぁ…!」
芦原さんの声が、ボクを現実に引き戻した。先ほどとは、うって変わって、声に艶を帯びている。
瞳を潤ませ、口を大きく開け喘いでいた。そこから幾筋も唾液が流れ、畳に染みを作っていた。
 勝った!!!
「あぁ―――――!」
ボクが大きく突き上げると、芦原さんは一声叫んで、畳の上に崩れ落ちた。



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