初めての体験+Aside 17
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社は、迫り来る睡魔を気力でかわしつつ、何とか最初の波を乗り切った。次の波が来るのは、
また何時間か後であろう。アキラは、何か薬物でも使っているのか、まったく平静で
疲れたそぶりも見せない。
――――くっ…!負けたら…塔矢より先に寝たらアカン…!
社は、アキラをキッと睨み付けた。アキラも社を厳しい目で見つめている。
社とアキラが水面下で、そのような激しい戦いを繰り広げているとは夢にも思っていないのか
ヒカルは二人の盤上での攻防に目を奪われていた。
「スゲーよ!二人とも!」
と、単純に二人の熱い戦いを賞賛した。
『ちゃうねん…進藤…コレは碁の勝負と違うねん…』
ヒカルは自分が賞品だとは思っていない。アキラと社も公言したわけではない。だが、
二人の間でいつの間にか暗黙の取り決めがなされていた…ような気がする。あくまで気がするだけだが…。
アキラが負けた場合はともかく、自分が負けたときは悲惨だと思った。
―――――要するに寝なかったらエエんやから…
気合いと根性で乗り切ってやる。
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