失着点・展界編 17


(17)
流し台にもたれかかったまま、和谷は座り込んだままだった。薄汚い包帯の
右手で伊角に殴られた右頬に触れる。視線を落とすと、進藤の血が混じった
粘液にまみれた自分のペニスが嫌でも目に入る。腿の内側にも赤黒く汚れが
あちこちに着いている。
「…あんなに、痛がっていたのに…。」
ついさっきまで、進藤はこの自分の体の下に居た。
嫌だったはずだ。塔矢じゃない、好きでもない男のペニスをケツの穴に
ぶち込まれるのだ。自分だったら耐えられない。
「あそこまでするつもりなかったのに…」
進藤は拒否すると思った。それが思いがけず『一度だけだよ』という合意を
得て、一瞬で理性が吹き飛んだ。
「…ちがう…、進藤の返事のせいじゃない…」
それだけ進藤は必死に塔矢を守ろうとしただけにすぎない。その事を感じた
だけに、余計腹が立ったのだ。
痛がって、怯え切って、泣きながら許しを乞う進藤をめちゃくちゃにした。
「最低なのはオレだ…!」
右手を握って振り上げると、流し台の下のトビラに激しく打ち付ける。
ドガッとトビラが内側にへこみ手から肘にかけて痺れるように激痛が走る。
「ヘヘッ…まだ痛みを感じやがる…。」
和谷はもう一度右手を振り上げた。すると、誰かにその手を掴まれた。
和谷が驚いて顔をあげると、いつの間にか伊角が近くに跪いていた。
「もうやめるんだ、和谷…。」



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