魔境初?トーマスが報われている小説(タイトル無し) 17
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目を開けると、部屋の中は真っ暗だった。
そばになにか、あたたかいものがいる。それが和谷だって気づくまでに数秒かかった。
唇が触れそうなほど近くに和谷の顔があることに、やっぱりどきどきでぃた。
変なの。もっと凄いこと、やったばかりのくせに。
「・・・っ! いたぁ・・・」
身体の状態を見ようと上半身を起こそうとして、鈍い痛みに思わず悲鳴をあげた。
慌てて和谷のほうを見ると、起きた様子はない。和谷のほうも相当疲れているらしかった。
起き上がるのは諦めて、その代わりにそろそろと掛布団を捲って覗き込む。
身体のほうは綺麗になっていた。べたべたしてないし、さっぱりしているのが感覚的にもわかる。
たぶん、和谷が始末をしてくれたんだと思う。
「ありがと、和谷」
そっと瞼にキスしてみた。なのにうるさそうに眉根を寄せられて、ムッとする。
ま、現実なんてこんなものだよな。
下半身は完全に麻痺していて、重たくて鈍い感覚しか伝えてこない。
そのなかで、和谷と繋がっていた部分が抉られたみたいに巨大な穴が穿たれているように思えた。
はっきりいって、初めてのセックスは死ぬほど痛かった。
挿れられてからは、快感なんてひとつもなかった。
だけど。 だけどさ、思うんだよ。
身体に開いた、大きな穴。
そこにあったはずの抉られた部分は、きっと心の隙間を埋めたんだって。
俺と和谷の間にある、距離を埋めるために使われたんだって。
だから、たぶん。
俺はまた、和谷に抱かれるんだろうって思った。
<終>
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