検討編 18
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「く…くっそォ、オマエなんか。待ってろ!すぐにまた、今度は叩きのめしてやる!
いつまでもそんなでかい口叩いてられると思うなよ!!」
「それでこそ。望む通りだ。」
ヒカルの言葉を受けて、アキラは嬉しそうに笑う。
「でも、できれば、」
言いながら、ヒカルの肩を掴んで引き寄せ、
「2年4ヶ月も待たせないで欲しいね。」
と、軽く唇を重ねた。
アキラからのキスに、呆然と固まってしまったヒカルがひとたび瞬きをすると、至近距離に、
先程までとは打って変わった、真剣な眼差しがヒカルを見据えている。
「早く来い。もう、ボクを待たせるな。」
「…ああ。」
ヒカルもアキラを見据えたまま、言う。
「覚悟してろ。」
そしてアキラを真っ直ぐ見たまま、にやっと笑った。
「今度は痛いって泣いたってやめてなんかやらないからな!」
「なっ!なんでそうなるんだ!ボクは対局の話を、」
「ウソウソ、今度は泣かせないって。だいじょーぶ。ちゃんと、痛くないようにするにはどうしたらいいか、
ちゃんと勉強してくるから。」
「そっそんなもの、勉強なんか、するなっ…!」
「絶対に、すぐに追いついて見せるからな。」
「ふん、追いつけるもんなら追いついてみな。ボクだって黙って待ってるつもりなんてないからね。」
そして、さあ、もう行こう、とアキラはヒカルを促して碁会所を出た。
随分夜も遅くなったのに、ビルを出ると駅前のせいなのかまだ人がいる。
じゃあな、と言いかけたヒカルをアキラが引き止めるように言った。
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