Shangri-La 18
(18)
「――だったら、なぜこの間電話したときに話してくれなかった?
しかも黙って一方的に切るなんて…!」
「あぁ…、なんかオレ、あの時塔矢の声聞くの、疲れて…」
「ボクと話すのが嫌だったのか?」
「あ、いや、なんかすごい勢いだったし、怖くて…
心配してくれてるのは嬉しかったんだけど…。ごめんな。」
「…ボクが、こわかった?」
「うん、なんか、塔矢のテンションが」
自分を「怖い」と評されたことで、アキラは、
次の質問を持ちだすことが出来なくなってしまった。
二人はしばらく無言でいた。
「そういや、オレの代わりにイベント行ってくれたって言ったよな?
ありがとな。あれ、直前だったし、悪かったな」
「え、あ、あぁ。それより、何で休んだ?一ヶ月も休むって聞いたけど」
ヒカルは足下の地面を見つめた。話が大きくなるのが怖かったが
何て言ったら良いのか、やっぱり分からない。
「うん、あのさ…。母さんがさ、入院して…」
アキラは驚きのあまり、大きな動作でヒカルに向き直った。
ヒカルは表情を堅くした。
「どうしたんだ?大丈夫なのか?」
「ん…、ちょっと、怪我してさ…。まぁ、今は意識もあるし」
ヒカルはアキラを安心させようと笑顔を作ろうとしたが叶わず
表情が少し歪んだだけだった。
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