裏階段 三谷編 18


(18)
彼の中は十分に潤っていた。彼のせいではない。こちらの所業だ。記憶は断片を
辿りながらあの時点に行き着こうとしている。
「ああ、んっ、ハアッ…・ハアッ…ッ!」
強く、そして出来うる限り滑らかに柔らかく与えた。彼の白い胸が反り上がった
ところに顔を寄せて火傷の痕のない方の突起を唇で捉え吸った。
「う、…ん!」
組み合わさった指を固く握り返して来た。ファスナーを下ろした部分の辺りに
固くなった彼のペ二スが突き上がって来るのを感じる。
組み合わさっていた片手を外して彼のものに触れ、年頃にしては色も量も若干薄い
彼の体毛を梳いた。こんなところまで似ていると思った。

畳の上に碁石が飛び散った。凄まじい衝撃で壁に叩き付けられた。
棋譜を元に夢中で盤上に石を並べていて自分なりに次の一手を見い出そうとしていた。
伯父が見つけられなかった先を。音もなく襖が開いてすぐ背後に伯父が
来ている事に気がつかなかった。振り向いた瞬間に平手が飛んで来た。
説明も言い訳も二人の間に会話はなかった。伯父は着物を解いたヒモで
オレの両手首を床の間の柱に縛り付けた。あっというまに下肢からズボンと
下着とを剥かれ、床の上に仰向けになったところに伯父が馬乗りになって来た。
「…何をしていた。」
「…別に…ただ…棋譜を…」
まばらに生えそろえだした体毛に伯父は指を絡めてくると一気に何本かを引き毟った。



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