sai包囲網 18
(18)
「進藤、何を、考えてる?」
そう言いながら、アキラは一度ヒカルの身体を横向けにし、後ろから
片脚を掬い上げて、残ったもう片方の脚を跨ぐ、俗に『燕返し』と呼ば
れる形にしてもう一度深く繋がった。
畳に押しつけられて佐為の姿が見えなくなる。逃げ込んでいた場所
から現実に引き戻されて、ヒカルはまた悲鳴を上げた。
苦痛と快感の入り交じった行為の間、思いついたようにsaiのこと
を問われ、その度に知らないと息も絶え絶えに答えるか、頭を左右に振
って否定の意思表示を返した。
繰り返し与え続けられる後ろと前からの刺激に、今にも限界に達して
しまいそうなのに、アキラの手がそれを阻んで、一度もイクことができ
ない。行き場のない沸騰しそうな熱に、ヒカルの目から涙が零れる。
「とう、や。手、離して・・・」
「もう、イキたい?」
「あぁ、はぁ・・・ん。イカせてくれ・・・」
「やっと、話す気に、なった?」
saiだって認めたら、楽にしてあげるよ。アキラの声が悪魔の囁き
のように聞こえる。それでも・・・。
「俺は、saiなんて、知らない、から、話したくても、話せねぇよ」
これだけは口が裂けても言ってはいけない。自分と佐為だけの大切な
秘密。saiは、佐為は、何より大事な存在だ。友達、師匠、もう一人
の自分。それを裏切ることはできない。
ヒカルの答えにカッとなったアキラは、捕らえていた脚を折り曲げる
ようにして身体を起こさせ、ふらつくヒカルの両手を無理矢理自分の首
に回させた。
「あぁ、あっ、あぁ!!」
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