平安幻想異聞録-異聞- 番外 18


(18)
男が終わった後も、ヒカルの涙は止まらなかった。
男に強引に犯され、陵辱され、嬲られているにもかかわらず、
その最後の瞬間にまごう事無き悦びを感じてしまっていた自分が
信じられなかった。
男にじらされ追い立てられて、「欲しい」と口走ってしまった自分の
擦れた声が、耳にこびりついて離れない。
あの瞬間、確かに自分はもっと強い何かを、指よりもしっかりと
自分の中を埋めるものを欲していた。
自分の体だけではない、ずっと深いところの何かが壊れてしまった気がした。
今この瞬間は、自分をなぶり陵辱する男達よりも、自分自身の方が憎かった。
「ぼうず、ヨクてヨクてしょうがなかったって顔してるぜ」
そむけていたヒカルの顔の顎を男が強引に掴んで上を向かせる。
「ヨかったって、正直に言えよ」
男の言うように、自分は今、そんな顔をしているんだろうか?
……しているのかもしれない。
また、涙があふれた。
「泣くほどヨかったかよ」
男が笑った。
見たくなくて目を閉じた。
このまま意識を手放してしまえたらいい。
男がヒカルから離れる気配がした。
ぱんっっと大きな音がして、ヒカルは強い力で頬をはたかれた。
無意識の世界に逃げ込もうとしていたヒカルは、痛みよりも、
その音の方に驚いて目を開けた。
――目の前に、4番目の男の小山のような体が覆いかぶさっていた。



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