ピングー 18


(18)
シャワーが出しっぱなしでよかったと思う。自分の変な声をはっきりと聞かずにすむ。
中をこすられているうちに、熱さにも似た痛みとともに、その場所から広がってくる
痺れを感じる。
昨日の夜と同じだ。ヒカルは少し目を開けた。
ほとんど目の前に、緒方を受け入れている自分の下肢があった。痛いばかりだと思って
いたはずが、自分のもすっかりたち上がっている。
股は大きく開かれて、左足はタイルに投げ出されていたが、右足は緒方の肩に乗って、
緒方の動きに合わせて揺れていた――慌てて目を閉じた。
緒方の動きが、腰を持ち上げるようなものに変わり、腹を内側から上に持ち上げるような
そのダイナミックな動きに、ヒカルの喘ぎは再び悲鳴に変わった。
緒方の動きに抗おうとして体をよじったら、突っ込まれた熱棒が引き抜かれそうになって、
ヒカルは女みたいなねだる声を上げていた。
苦しい。つらい。なのに――やめて欲しくはないのだ。
「せん……せぇ……っっ!」
ヒカルは観念して、緒方に手を伸ばす。
自分の体を支配しつつある、未知の感覚から逃れたかった。
だが、今目の前にいる、ヒカルをそこに追い込んだ張本人しか、どうにかしてくれ
そうな人間はない。
延ばされた手首を緒方が掴んで、跡が残るほどに吸った。
ざあざあと響く湯音の中で、二人の体がぴったりと重なり合い、規則正しいリズムに
揺れていた。
浴室が静かになり、湯音が止まったのは、それから程なくのことだ。



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