しじま 18
(18)
進藤がゆるやかに動き出した。
やっぱり痛い! とくに引くとき、内臓まで引きずり出されるようだ。
「悲鳴、あげていいんだよ、とうや……でないとオレ、加減がわかんない……」
わずかに理性を残した声色だった。
きっともう頭のなかは熱に侵食されかかっていると思う。
ボクがいつもそうなように。
それでも進藤はなんとかボクを気遣おうとしてくれている。
「へいきだから……」
「……ん、とうやぁ……っ」
進藤が行為に没頭しだした。ボクの口からはあいかわらず喘ぎも呻きも出されない。
息だけが想いをのせて、吐き出されていく。
「とうや、とうや……!」
進藤は眉根を寄せて、さらに激しくボクを突き上げてくる。
痛みとはちがったものがボクを浸しはじめる。でも快感と呼べるシロモノではない。
でも進藤の色っぽい顔を見ているだけで十分だ。
ボクは進藤とともに吐精した。
行為によってではなく、進藤の顔を見て、ボクはイったんだ。
「とうや……」
汗ばんだ肌が触れる。特有の汗臭さのなかに、甘いものがまじっている気がした。
息をととのえた進藤がボクのうえから起き上がった。
そのお腹はボクの放ったもので白く濡れていた。
進藤はティッシュでそれをぬぐいとる。それからつながっているところに当てて、ボクの中
から抜け出ていった。
進藤がいなくなったそこは、空っぽになった気がした。
まるで大切な身体の一部を無くしてしまったかのように。
「やっぱり血が出てる。痛かったろ?」
「……気にしなくていい……それより……」
ボクは身体をずらして進藤の手元をのぞきこんだ。
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