天涯硝子 18 - 20
(18)
ヒカルは息を止め、動き出した冴木の動きから与えられる振動に耐えようとした。
クリームを使っているために滑りがよいのだが、返って冴木の動きの通りにヒカルの身体を揺らしていた。
歯を食いしばり、声を殺しているヒカルの様子に、冴木は掴んでいたヒカルの足首を放した。
自由になった足を冴木の両肩に掛けるような形になると、腰を冴木の膝に凭せ掛け逆立ちをするような
圧迫感が消えて、ヒカルは身体が楽になったと感じた。
「…お願い…、冴木さん…動かないで」
息を吐き出しながらヒカルは掠れた声で言った。
冴木はヒカルと繋がったまま、ヒカルの足を自分の腹の両脇に移動させ、自分はヒカルから外れないように
しながらヒカルと身体を重ねた。
「痛い?」
ヒカルは目を閉じて、何度か無言のまま頷いた。
「…ぅ、……ん…」
ヒカルの腕が冴木の首に絡みつく。足を腰に回し、もっと深く繋がるようにとするように強く締めつけてくる。
身体を重ねたためにお互いの体温がふたりの間に貯まって行くためなのか、痛みのためなのか、うっすらと
額に汗を滲ませ震えている。冴木は溜まらず動きを早めた。
「…ひっ…!」
もっと深くヒカルの内を抉るように、突き上げる。
「ぁぁっ!…あぁっ!……あっ、……あっ!…ぁあっ!」
立て続けにヒカルが声を上げ始めたと思うと、冴木の下腹に擦られ、簡単にヒカルは絶頂を迎えた。
じわり、と、ふたりの間にヒカルの熱い精が広がる。
「……進藤、…俺、まだなんだけど…続けていいか?」
ゆつくりと、それでも大きく腰を回しながら冴木がすまなそうに尋ねた。
ヒカルは頷いたが、何を言われたのか解ってはいないようだった。
冴木はかまわずヒカルを突き上げ始めた。
「…いやっ!ぁあっ!」
冴木の身体の下から逃れようとヒカルはもがいたが、冴木がヒカルの身体をしっかりと抱き込み
捕らえて離さない。ヒカルの声が掠れ、啜り泣きが混じり始めても冴木の欲望は果てがないように、ヒカルの紅い内側を擦りあげる。
一度開いたそこを冴木は存分に嬲った。ヒカルの肉づきの薄い双丘を両手で掴んで押さえつけ、
隙間なく腰を撃ちつけ続け、ヒカルがもう声も出せなくなったころに漸くヒカルの内に自分の
欲望を吐き捨てた。
「何か前は、もっと楽だったような気がする…」
「今日は緊張してたからだろ?」
「慣れたらもっと良くなるかな?」
やわらかく降り注ぐシャワーを背中に受け、冴木に膝を割られながら、ヒカルはつぶやいた。
「明るかったからな、お前の感じてる顔を見られて俺は満足だよ」
ヒカルは驚いて顔を上げた。
「冴木さんはいいよ!あんなに長くされてさ、オレ死ぬかと思った…」
「死ぬかと思って何回イッたんだ?」
「…冴木さん、やっぱり意地悪だ」
冴木が双丘の割れ目から指を滑り込ませた。ヒカルの開いた足の間に手を入れ、くすぐるように肌に
指を這わせる。指先を押し付けるようにして秘門の入り口を擦り始めた。
「…ん、…何してるの…」
「感じるか?…洗ってるだけなんだがな」
洗っているにしては手つきがおかしい。片足を持ち上げられ、脚をもっと広げさせられた。
爪先立ちをしていたヒカルは立っているのがつらくなり、冴木の胸にすがりついた。
(19)
ヒカルの内股を冴木の手が滑っていく。普段は柔らかく白いそこは、今は暖かいお湯にほの赤く
染まり、すべすべと綺麗で、思わず爪で傷をつけたくなるような手触りだった。
「…お湯が沁みるってば…」
ヒカルがそう言うのも聞かず、冴木はヒカルを後ろ向きにすると壁に手を突かせ、脚を開かせた。
ヒカルの片足を持ち上げると、もう片方の手でヒカルの腹の方から内股に手を入れ、腰をすくい上げ
るように身体を持ち上げて、自分の再び熱くなり始めたモノを、開いた内股に押し付けた。
「冴木さん、いやだよ…」
背中に冴木の熱い身体の体温を感じる。身体を持ち上げられ、片足で不安定に立っているために
身体を動かして逃げることが出来ない。冴木が少し身体を落として、後ろに自身を突き刺してきた。
「……ぃ、痛ァ…」
ヒカルが息を詰め、痛みに耐え震えながら声を絞り出した。
背中から片足の膝裏に腕を回され抱きしめられ、身体を下から持ち上げられる。
自分の身体の重みで冴木のモノが逆に身体の内に深く入り込んで来るのがわかった。
下から突き上げられ、激しく揺さぶられ始めると、息が詰まる。叫びたいのに、声が出ない。
冴木がヒカルの耳を後ろから噛んだ。顔を壁に押し付け、早く冴木が達してくれることを願った。
ベッドでもそうだったが、冴木はなかなか最後までたどり着かない。長い時間ヒカルは衝撃と痛みに
耐えなければならず、時々意識が遠のいた。
「…ゥッ…!」
急に強く抱きしめられた思うと、冴木の身体が硬直し大きく震えた。冴木が呻いてヒカルの内に
精を注ぎ込む。繋ぎ合わされたヒカルの秘門から白い精液が溢れ出た。
水とは違うものが自分の脚を伝い、流れ落ちて行くのがわかる。
きつく抱きしめられていたせいで、身体と一緒に抱きこまれていた片足が痺れている。
冴木はヒカルを抱いたまま胸を喘がせ、快感の余韻に浸っているようだ。
ヒカルは床についている片足がガクガクと震えだしたことに耐えられなくり、身体を揺らして
冴木に訴えた。
「…離してってば」
ようやく持ち上げられていた脚が解かれた。
冴木はヒカルの後ろから自分のモノを抜き取り、シャワーの向きを変えてヒカルの背中を流した。
後ろからヒカルの内股を洗い、秘門にも指を入れて中を洗う。
バスルームに来たのも、精液で汚れたヒカルの身体を洗うためだったのに、また同じことをしてい
る。夏とはいえ、濡れたまま長い時間立っている間に、身体の表面は冷えてしまった。身体の内が
いくら熱くても、肩や胸は冷たくなっていた。
シャワーを掛けてもらうと暖かく感じられて気持ちよかった。顔や胸にもお湯を流してしてもらう。
ヒカルは目を閉じて、冴木に身をまかせた。
シャワーを止め、ヒカルを横抱きにして冴木はバスルームを出た。
「……まだ身体を拭いてないよ?」
ヒカルが不安そうに尋ねる。冴木はヒカルの身体も、自分の身体も拭かずにベッドに戻った。
濡れたままのヒカルを脇に立たせ、ベッドのシーツを引き剥がし新しいシーツを広げて簡単に掛けた後、最初に剥いだシーツを簡単に二つにたたみ、無造作にベッドに投げた。
そして、ヒカルにそのシーツの上に寝るように言った。
「濡れてるよ?」
「いいんだよ。これから拭くんだ」
ヒカルは冴木が何をしたいのか解らないまま、ベッドに横になった。
(20)
「ねぇ、ベッドが濡れちゃうよ…」
ヒカルは気にして、そう何度か問いかけた。
冴木は少し笑いながら、タオルの代わりに、ヒカルが下に敷いているシーツの広がった部分で、
そっとヒカルを包むように、身体に残る水滴を拭いた。
それは拭くというよりも、布を押し付けて水分を吸い取るような感じだった。
急いで水滴を拭き取る時のような、少し力のあるものではなく、そっと包まれる感じが心地いい。
両腕を頭の上に持って行かれ、胸の両脇を拭かれる。冴木がわざと布越しに乳首に触れて来た。
軽く、かすめるように触れられ、ジン…と胸に心地良さが広がると思わず鼻にかかった声が
喉の奥から漏れた。声と一緒にビクンと、ヒカルの身体が揺れる。
ゆっくりと乳首を揉まれたり、摘ままれたりしているうちに身体がまた熱くなって来た。
くぐもった声が、次第に抑えられない喘ぎ声に変わって来たのを自覚し、ヒカルは堪らずに
冴木の手を取り、自分の中心へと持って行った。
ヒカルの中心は半分頭をもたげ、ひくひくと揺れている。
ヒカルは明るい電灯の下、瞳を潤ませながら冴木の見ている前で両足を開いた。
冴木の目の前に、ヒカルの白い内腿の奥の、赤い蕾が曝け出された。
そこは、急で激しかった行為のために赤く腫れ上がり、痛々しかった。
先ほどまで自分がここを押し広げ、ヒカルの内も外も欲望のまま長い時間、刺し貫いて犯してい
たのだ。
閉じていた内腿を濡らしていた水滴が、一筋、伝い落ちる。冴木はヒカルの手をほどいてヒカル
の腹を拭き、中心で揺れているまだ色の薄いペニスと袋を拭き、最後に柔らかな内股を拭いた。
ヒカルはされるままじっと動かずにいたが、一度熱くなった体の興奮は抑えきれず、肩を寄せ大
きく胸を上下させていた。
両足の膝裏も、足の指の間も丁寧に水滴を拭き取ると、冴木はヒカルの股間へと顔を埋めた。
張り詰めてきていた中心のモノを口に含み、吸い上げる。舌で竿をしごいて舐め上げ、先端を舌
先で突付いた。ヒカルが腰をうねらせるのを押さえつけ、まだ綺麗な袋をしゃぶり、その下の柔ら
かな部分を唇できつく吸った。ヒカルの口から絶え間なく、小さな喘ぎ声が漏れ続けた。
翌日は、ふたりして昼近くまで眠っていた。
ヒカルが目を覚ますと冴木が外に食べに出るかと聞いてきたが、ヒカルは身体がひどく痛み、
身体を起こすことさえ大変だったので、冴木が簡単に卵炒飯を作った。
インスタントのスープを啜った後、碁盤を挟んで一局打ったが、ふたりとも集中できずに、
ヒカルが甘えて冴木の方へ身体を移したところで終わりにしてしまった。
ベッドに座らされ、軽く口付けられるとヒカルは身体を堅くした。
「…また、する?」
身構えているのが解り、昨晩、泣かせてしまったことを思い出して冴木は首を振った。
「よく眠れたか?…身体も痛むんだから夜まで寝てればいい」
「…ごめんなさい」
「そのかわり俺も一緒に寝る。お前を抱いてな」
ヒカルが横になると、冴木はヒカルを包み込むように抱いた。
冴木が前髪に口付けたり、髪を梳いたりしているとヒカルが何か言った。
「ああ、ごめんな。寝られないな」
「あのさ、次はいつ会えるかな?」
「…来週は火曜に研究会があって、…おまえ、手合いは?」
「今週は木曜」
「なら、木曜以外ならいつでも。おまえの好きな時に」
ヒカルは冴木の胸に顔を押し付け、笑いながら言った。
「それじゃ、明日」
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