平安幻想異聞録-異聞- 184


(184)
その十二単衣の裾が、渡り廊下の向こうの建物の影に隠れて見えなくなるのを
見届けて、ヒカルは振り返った。
座間と菅原はすぐそこにいた。
ここまで来れば、その目に宿った剣呑な光もはっきりわかる。顔が理由の
わからない怒気にまみれいるのも。
誰彼かまわず、噛み裂く相手を求めている獣の顔だ。
背筋を冷たいものが走った。
「儂のいない間に、どこぞの女房とお楽しみか? 気楽な身分よの、
 検非違使殿」
地鳴りのような低く掠れる声でそれだけ言うと、座間はヒカルの腕を取り、
抵抗するヒカルを引きずるように引っ張って行き、貴族達のの近従の控室近く、
使われていない空いた空間に乱暴に放り込んだ。
床にしたたかに背を叩きつけられて、ヒカルは一瞬息を詰める。
それでも何とか立ち上がろうとしたヒカルだが、すぐに今度は投げつける
ようにして突き飛ばされ、中柱に肩を強く打ち付け、その場に崩れるように座り
込んで、痛みに喘いだ。
中柱の根元に肩を押さえてうずくまるヒカルに座間が近づき、それをそのまま
荒々しく引き倒し、四肢を押さえつける。
自分の上にのしかかる男のその顔に、怒気と共にはっきりとした情欲の色が
浮かんでいるのをヒカルは見た。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!