平安幻想異聞録-異聞- 186
(186)
ガツンッ
鋭い音をさせて、まじかの床板に刃が深々と刺さる。
ヒカルの首はちょうど、中柱と床に斜めに突き立てられた太刀との隙間に挟まる
形になってしまった。
刃はヒカルの方を向いている。
下手に動けば、首が切れる。
目の下に鋭利に光る白刃にさすがにヒカルも息を詰め、抗う動きを止めた。
「ようやっと、おとなしくなったか」
座間はヒカルの狩衣の襟元に手をかけると、それを下に着込んだ単衣ごと、
一気に引き剥いた。ヒカルの首から鎖骨、胸までがあらわになる。その胸の上には、
一昨日の夜、三人の公卿達が玩び嬲り回した名残の鬱血の花びらが、今もハラハラと
散っていた。そこに両手を伸ばし、座間はまるで女の胸にそうするように荒々し
く揉みしだく。
「…いやだ……っ」
そのまま、その手はヒカルの指貫の腰帯に延びた。
嫌ってよじる腰の動きを、座間が力で封じる。
腰帯をほどかれる。
「こんな所で…!」
「こんな所だから興が深いのであろうが」
すれすれに太刀を突き立てられたヒカルの首に、座間の生臭い息がかかった。
見れば、座間が自分の着物の前をはだけて、自分の陽物を取りだす所だった。
大きな、赤黒いナマズのような形をしたそれは、すでに反り返って、尖端から涎
を垂らしてぬめっていた。
座間はヒカルの腰を持ち上げ、指貫の布地をかき分けると、ほとんど前戯もなしに
その湿った頭部をヒカルの後ろの門に当て、抗う間もなく、グイと中に押し入った。
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