平安幻想秘聞録・第三章 19
(19) だが、その安堵の気持ちも帰り際の東宮の一言で粉砕した。 「佐為殿、また明日も指導碁を頼むぞ。もちろん、参内の折りには近衛 光も連れて参るように」 「東宮さま、それは・・・」 「良いな。待っておるぞ」 それは有無を言わさぬ、権力者からの命(めい)に違いなかった。 その日から毎日、ヒカルは佐為の護衛役として内裏へ、いや、東宮の 元へと参内するはめになったのだ。 第三章・終