平安幻想異聞録-異聞- 19


(19)
(いったい、誰がこのような無体なことを……)
自分の腕の中で泣きながら、気を失うように眠って
しまったヒカルを抱きかかえて寝所に戻った佐為は、
用意したぬるま湯で襤褸のような有り様のヒカルの体を丁寧に清めながら
その傷を検分するうち、すぐにこの少年検非違使が
この夜どんな目に合わされたかを、真実に近い形で理解した。
傷だらけの体。特に血と精液にまみれた下腹部から内股にかけては、
そこにどんな行為がなされたか、露骨なまでに物語っていた。
左太ももの内側にも、大きくて長い奇妙な形の切り傷がある。
(あまり、思い込みだけで人を疑いたくはありませんが…)
ただの夜盗ごときが、ヒカルをこんな様にすることができるとは思えない。
こう見えてヒカルの剣の腕は確かなのだ。
佐為は眠り伏すヒカルの横に座りながら、思わずその心当たりの
人物の顔を思い浮かべて、中空をにらみ据えた。
夜明けとともにヒカルが高熱を発したので、医術師を呼び、
熱冷ましと化膿止めを処方してもらう。
帰りしな、その医術師に金をにぎらせて口を封じておくのも忘れなかった。
犯人がわからない今はまだ、事をおおやけにしたくない。
帰らない若主人を心配しているであろう近衛の家にも使いを出し、
ヒカルは少し具合が悪いようだからこちらの家で休ませる旨を言い伝えさせる。
夕方には、どこでその話を聞きつけたのか賀茂アキラが
見舞いにやって来た。
昏々と眠り続けるヒカルの顔に残る擦り傷を見て、
「近衛は腹痛で臥せっていると聞いてきたのですが、
 どうやら真実は少し違うようですね」
と、つぶやいた。
「そうですね。賀茂殿とヒカルも浅からぬ縁。
 あなたには真実を知る権利があるやもしれません」



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