初めての体験 Asid 19
(19)
突然、進藤がボクを突き飛ばした。
「進藤?」
震えている?どうして?ボクは、進藤の顔を覗き込んだ。
「オマエ、今、何考えてたんだよ?」
そっぽを向いたまま、進藤が訊いてきた。えぇ…?
「別に…キミのことだよ…」
ボクは、優しく笑いかけた。本当のことは言えないよね。
進藤は、ボクの顔をじぃっと見つめてきっぱり言った。
「ウソだ!」
ウソじゃないよ。まあ…よからぬことも考えていたけど…。
「だって…オマエ…目が笑ってネエんだもん…怖ェよ…」
進藤は、枕に顔を伏せてしまった。しまった。顔に出てしまったか…!修行が足りないのか…!?
それにしても、進藤も結構、勘がいいんだな。
「ごめん…今度の対局のこと考えていたんだよ…」
ウソも方便だ。進藤は顔を上げて、ボクを見た。目にいっぱい涙を溜めて、怒っている。
「…オレもその気持ちわかる…でも…オレと一緒の時は、オレのことだけ見てくれなきゃ
イヤだ……!」
そう言うと、また、顔を伏せてしまった。滅茶苦茶可愛い!このまま、地下室に監禁して
しまいたい!地下室なんてないけど……
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