初めての体験+Aside 19
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「負けました!」
社は叫んだ。と、同時に、ヒカルの目がパッチリと開かれた。
「じゃ、次はオレの番!」
無邪気に喜ぶヒカルと、場所を入れ替わる。本当は、まだやれる。しかし、時には
勝負を捨てても守らなければならないモノもある。
『本音は塔矢が怖いだけやけどな…』
横目でチラリとアキラを見ると、彼は涼しい顔でもうヒカルとの対局に入り込んでいた。
それから、何時間経ったのか…気が付くと夜は明け、もうすでに昼前だった。
「ありません…」
社との対局でのアキラの言葉である。素直に喜べない。なぜなら、アキラが薄笑いを浮かべて
自分を見ているからだ。コレは、心理作戦だと思った。アキラの行動に、自分がいちいち
ビクつくのを面白がっているのだ。それでも動揺してしまう。喉がからからで、口の中が
粘つく。
「進藤…お茶一杯いくれへん?」
その瞬間、アキラの瞳が鋭く光った。
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