Linkage 19 - 20
(19)
アキラは愕然として、目の前の緒方の顔を見つめた。
緒方は冷ややかな笑みを浮かべると、ようやく事態を飲み込み、硬直しているアキラの
背中を抱き寄せ、汗の雫が伝い落ちる首筋に顔を伏せた。
「正直、オレもこんなことは予想外だったが……」
囁くように言うと、吸血鬼さながらに首筋に歯を立てる。
「……んッ!ヤ…メ……」
薄い皮膚に食い込む歯の痛みに思わずアキラが悲鳴を上げると、緒方はすかさず顔を上げ
唇を重ねてきた。
アキラが抵抗する間もなく、緒方の舌が口腔内に滑り込み、舌を絡め取る。
アキラの内奥深くで既に精を解き放っていたはずの緒方のペニスは、射精後も依然として
猛々しくその存在を主張していた。
それが何を意味しているか……、わからないアキラではない。
その証拠に、すっかり熱を失ったはずのアキラのペニスには再び熱い血が滾り始めている。
骨が軋むほどに強く抱きしめられ、濃厚なくちづけを交わしながら、アキラは本能に逆らう
ことの馬鹿馬鹿しさを悟ったのか緒方の髪の中に手を差し入れた。
「物分かりがいいな、アキラ君は。やはり若い血には逆らえないということか、クックック」
緒方はアキラの行動を予測済みだったのか、唇を離すとそう言って笑い、頬から瞼、そして
額にかけて幾度となく優しいキスの雨を降らせてやった。
(20)
仰向けになった緒方の上に跨り、何かに取り憑かれたかのように激しく腰を
上下させるアキラを見上げて、緒方は複雑な表情を浮かべた。
(焚き付けたのは確かにオレだが、ここまでやれとは一言も言っていないんだが……)
自暴自棄になっているのか、それとも快楽に忠実すぎる本能のせいなのか、
アキラは緒方に主導権を握らせようとはせず、繋がったままの緒方を押し倒し、
自ら腰を動かし始めていた。
緒方の放ったもので潤った結合部は、アキラが腰を上下させる度に湿った卑猥な
音を立てている。
震える黒々とした長い睫毛、陶酔感に潤んだ瞳、半開きになった唇から漏れる甘く
淫靡な嗚咽、そして時折唇を舐める誘うように赤く濡れた舌……緒方は呆れた
ように額を手で押さえ、深く溜息をついた。
(いつオレがこんなセックスを教えた!?まったく……希代のファム・ファタルも
アキラ君には恐れをなして逃げ出すぞ……)
いつまでも呆れているわけにもいかず、緒方は時折崩れ落ちそうになるアキラの
上体を片手で支えてやりながら、上下する腰の動きに合わせて自身の腰を軽く突き
上げてやった。
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