誘惑 第三部 19 - 20


(19)
「進藤?」
「さっきも思ったけど、塔矢、おまえ、痩せすぎ。」
そう言うと、ムッとしたような顔でアキラがヒカルを睨みあげた。
「こんな状態のおまえ抱いたら、壊れちゃうよ。オレ、おまえを壊しちゃうよ。今なら止められるから。
これ以上やったら歯止めが効かなくなって、おまえを滅茶苦茶にしちゃいそうだ。」
「そのくらいで壊れるほどやわじゃない。」
怒ったような口調でそう言った後、アキラはふわりと腕をヒカルの首に回して引き寄せ、耳元で囁いた。
「キミに壊されるんなら、それこそ本望だ。壊れるくらい激しくして。滅茶苦茶にして。キミの全部を感じ
させて。ボクをキミで一杯にして。」
息の熱さが感じられるくらい間近で、煽るような言葉を囁かれると、身体が熱くなる。鼓動が早く、激しく
なる。下半身に血が集まるのを感じる。
「塔…矢…」
それでも抗おうとするヒカルの唇をアキラが塞いだ。
「だ…めだよ、塔矢っ…!」
「…強情だね。」
逆にヒカルの身体を下にし、跨るような格好で、ヒカルを見下ろして、言った。
「キミが嫌だって言ってもボクはやめるつもりなんかない。」
そして乱暴にヒカルの脚を開き、顔を寄せていく。
「まっ、待てっ、塔矢っ…」
ヒカルの制止など聞き入れる筈もなく、アキラは確かに勃ち上がりかけているヒカルを口に含んだ。


(20)
ヒカルはあっという間にアキラの口の中で弾けた。
放たれたものを当然のように喉を鳴らして飲み込み、ヒカルを上目遣いに見ながら、
「精液は栄養あるってホントかな?」
そう言って、小さく笑いながら口の端に零れたものをペロリと舐め取った。
端整な顔に浮かぶ淫猥な表情にゾクリと心が震える。いや、震えるのは心だけじゃない。
「キミだって、一回出したくらいじゃおさまらないくらいのくせに。」
圧し掛かるようにヒカルの眼前に顔を突きつけながら、勢いを失っていないヒカルを弄る。
「ボクの身体の心配なんかするなよ。それくらいだったらキミをよこせ。
足りなかったのはキミだ。今ボクが欲しいのはキミだ。キミだけだ。」
真っ直ぐに見据える黒い瞳に心を奪われる。ドクン、と心臓が脈打つと同時に、アキラの手の中の
ヒカルが、ぐん、と大きくなる。ヒカルの中の衝動を見透かしたようにアキラが目を細め、
「これでもまだやめるなんて言うの?」
煽り立てるように耳元で囁く。
「とう…」
伸ばしかけたヒカルの腕を振り切るようにアキラは身体を起こす。
「欲しかったら嫌だって言ってもやれって、言ったのはキミの方だ。」
そう言いながらヒカルを見下ろしてにっと笑うと、ヒカルを呑み込むように一気に腰を沈めた。



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