Birtday Night 2
(2)
家に帰ると、ボクは一人、部屋で棋譜並べをしながら、夜が更けるのを待った。
……後数時間もすれば、誕生日も終わる。
ひんやりとした碁石を持ちながら、ふと『囲碁はいつ生まれんだろう』疑問が浮かんだ。
囲碁の誕生日、囲碁を生み出した人は誰?
探究心をくすぐられる。
ボクは自分の誕生日より、囲碁の誕生日を祝いたいと思った。
進藤がこのことを知ったら、きっとまた呆れられるに違いない。
彼に言わせれば、ボクは「囲碁バカ」なんだそうだ。
「お前って囲碁しか頭にないんだな」
しょうがないなぁと、困ったように進藤が笑った。
「進藤…」
――何故だか急に彼に会いたいと思った。
碁が打ちたいとか、そういうものではなくて。
一体、この切なさは何なのか。胸が小さく痛んだ。
…でもきっと、こんなものは誕生日を過ぎてしまえば消えてしまう。
誕生日に惑わされて、変に感傷的になっているだけだ。
進藤は今日は名古屋で対局だったはずだ。
……彼も一人で、この夜を過ごしているんだろうか。
|