Hope&Wish 2


(2)


進藤と二人で遠くへ行くのは初めてだった。
電車に揺られて、進藤は二人座席の窓際に座り、窓の外の景色を眺めていた。
オレンジの夕焼け空が拡がっている。
いつだったかインターネットカフェの前。
キミとsaiのことで言い合いになった、あの時の色に似ていると思った。
ふいに、進藤の手がボクの手の上に重なった。
驚いて見ると、進藤は窓の外に顔を向けたままだった。
その温もりが切なくて、ボクは手の平を返して、そっと彼の手を握りしめた。
窓の向こう側に海が見えたのは、それからしばらく経ってからのことだった。

海辺の静かな町。電車を降りて、宿を探した。
小さな旅館が見つかって、宿泊名簿に名前を書いていると、受付の奥に貼ってあるポスターに目が止まった。
『碁盤、貸し出します』
仲居さんに訊いてみると、時々、碁打ちの客がくるのだそうだ。
何も知らずに選んだ宿なのに、ボク達は囲碁からは逃げられないらしい。
部屋に案内されて、もう夜だからと、布団をひいてもらった。



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