無題・番外 2


(2)
「それにしても、緒方さんを失恋させるようなひとって、どんな人なんですかぁ?
興味あるなあ。」
グラスを片手にそう問い掛けた芦原を緒方はギロリと睨んだ。
「人の事なんかどうでもいいだろ。おまえはどうしたんだ。
この間女連れで歩いてたって聞いたぞ。」
「ああ…あれね。」
「なんだ、またふられたのか。」
「また…って、緒方さん…や、どうせその通りですけどね。」
芦原はグラスを揺すりながら空を見て言った。
「プロ棋士って、ナニそれ?囲碁なんてわかんなぁい、他に話すことないのぉ、ってね。
どーせ、囲碁バカで何も知らないし、学生の世界の事なんてわかんないですしね。」
「なんだ、そんなつまらない女、こっちから振ってやれ。」
「まぁね…どっちからでも大した違いはないですけどね…、
結局、友達の紹介してくれた娘と付き合ってみても、みんなそんな感じなんですよね…。
世界が違うって言われちゃね。どっちにしてもあんまりピンとくる娘でも無かったけど。」
芦原は軽く溜息をついて、グラスの残りを飲み干し、緒方の方を見た。
「そんな事より、緒方さんの失恋した相手って、どんな人なんですか、教えて下さいよ。」
「どんな、って言われてもなぁ…」
アキラだよ、とは言えまい。
「まず、緒方さんが本気になるってのが信じられないんだよなぁ。
やっぱ、キレイなひとなんですか?」
「キレイ?ああ、キレイだとも。極上だよ。街を歩けば誰もが振り返るような上玉さ。」
肩を竦めてそう言って、緒方はグラスの中身をすすった。



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